2009/11/30

’09夏の思い出 八ヶ岳山麓No.88

二重露出で葉に夏を焼き付けるHppb301695

 今年の夏は、山小屋のベランダにコクワガタが3匹も現れた。例年は1~2匹なので、異常な状況だ。3匹目が来たときは、驚喜した。コクワガタは貴重な昆虫だ。標高1400メートルの森では、めったにめぐり合わない。数が少ないだけでなく、存在感と風格がある。虫かごに入れて飼っていたが、夏の終わりに森へ放した。おそらく、今夏かぎりの出来事だろう。

Hpp8172171_2 オリンパスペンE-P1を使って「夏の思い出」を撮影した。夏に撮影しておいたコクワガタの写真(写真左)をパソコンで処理してシルエット調(ネガ)のプリントを作り、桜の紅葉と二重露出した。盛夏、コクワガタが元気に葉の上を歩き回るシーンをイメージした。思い出は、現在から過去を振り返ることだ。このようなモチーフでは二重露出のテクニックが有効だ。しかし、二重露出にかぎらず、撮影者のモチーフしだいで、写真は「過去」も「未来」も撮れる。Hppb301726_3どんな被写体にも過去と未来があり、私たち自身の心情も時の流れに従っているからだ。私たちは、常に過去から学び未来に期待する。「過去と未来」は撮影の重要なモチーフなのである。 参照:『理想的な多重露出撮影 横浜No.40』

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2009/11/23

野の花からのメッセージ

フォトクラブ彩光 写真展 2009Hp

 山野草は、日に日に減っていく。私が八ヶ岳山麓で生活するようになってから20年が過ぎたが、毎年、観察できる花が少なくなっていく。だれかが掘り出していくようだ。横浜で、ザゼンソウまで鉢植えになっているのを見たことがある。山野草は、別のところに移植してもほとんど育たない。掘り出せば、滅ぶだけである。また、環境の変化も影響していると思われる。近年、シカが里に出てきたのは、野山の植生が変わってきたからだろう。目だって減っていく植物には、サクラソウ、ザゼンソウ、ウバユリ、カラハナソウ、ヤナギランなどが含まれる。このままでは、日本の山野草の多くは絶滅危惧種になってしまうだろう。

 フォトクラブ彩光のメンバーとつきあいはじめて1年半が経過した。つきあうほどメンバーの知識と見識の深さには感心する。そこで、今回の御苑展ではその見識を生かして「野の花からのメッセージ」というサブタイトルを付けた。植物が話しをするとしたらなんと言うであろうか。狭められる悪化する環境に愚痴をこぼしているかもしれないし、環境に適応して悦に入っているかもしれない。それをフォトクラブ彩光が代弁しようというわけだ。下記のとおり写真展を開催する。ご高覧いただけたら幸いだ。

Hp_2会場:新宿御苑インフォメーションセンター(新宿門隣り ☎03-3350-0151) ギャラリーは入場無料

会期:11月25日(水)~11月29日(日) 9:00~16:30 最終日は~15:00Hppb240413_2Hppb240406_2

展示中の会場

 私は、オオバギボウシの生きざまを撮影した「移ろい」と、夕立ち後のコオニユリを撮影した「清涼」を出展した。いずれも八ヶ岳山麓で撮影したものだ。Hpp9161260Hpp9161262

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2009/11/17

動物の痕跡と初雪…フォトレポート         八ヶ岳山麓No.87

11月中旬の森のようす…コンパクトカメラシリーズ12Hppb170205

 11月17日の最低気温は-1度Cだった。朝から雪が降り、半日で7センチほど積もった。昨日、八ヶ岳はまだ冠雪していなかったので、今日の雪は初雪だろう。スタッドレス・タイヤを装着していなかったので、急いでチェーンを巻いた。日中はだいぶ融けたが、林床にはまだ雪が残っている。人工雪のスキー場には恵みの雪だ。なお、今秋は、不在中の温度計が-6度Cを記録していた。散歩道で観察した自然を中心にレポートする。写真はすべてオリンパスSP-350で撮影した。

Hppb160130●オサムシの仲間 道路の真ん中を歩いていた。図鑑を調べたが種を同定はできなかった

Hppb160071●キツネの糞 大量の毛が交じっている。こしのある太い毛なので、ネズミ以外の動物を食べたようだ。タヌキを食べたのかもしれないが不可解だ

Hppb160114●ウサギの糞 草原にたくさん散らばっていた。ササの良い香りがする

Hppb160094_2●シャクナゲの新芽 すでに来年の芽が膨らんでいた。これから氷点下10度以下の長い冬が待ち構えている

Hppb160063_2●シイタケ この時期にシイタケが採れるのは珍しい。日差しと雨が影響しているようだ。すき焼きで本物の香りを味わった

Hppb160164●残照の天狗山(1822メートル) 閑散としたレタス畑の上に輝いていた

●雪が積もった林床Hppb170222

Hppb170199●食べられた大根の葉 シカを警戒していたが、ウサギにやられたようだ。柵の下から潜ったのか

●初雪とマユミの実(写真最上)

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2009/10/25

秋深し 八ヶ岳山麓No.86

10月下旬の秋模様Hppa213555

 約一か月ぶりに山小屋に来た。標高1400メートルの高原は、晩秋の趣が濃い。不在中の最低気温は1.5度Cまで下がっていた。しかし、八ヶ岳にはまだ初冠雪がない。11月25日の最低気温が5度Cだった。

Hppa213512 10月21、22日は、プローバー’01のメンバーと八千穂自然園、霧ヶ峰周辺、北杜市の通仙峡などを撮影した。紅葉はそれほどではなかったがピークかもしれない。八ヶ岳周辺の秋模様をレポートする。

●身震い 寒風にふるえる紅葉(八千穂自然園 写真上右)

●端麗 小海の松原湖高原線沿いで(写真左)

Hppa223831_2●残秋 日の出直後の八島湿原

Hppa223890●余韻 霧ヶ峰のススキ原

●無残 駒出池にてHppa219449_2

Hppa223948_2●淀瀞 通仙峡にて

Hppa223926●瀬影 通仙峡にて

Hppa223981●錦空 通仙峡上空

Hppa223955_2●拒岩 通仙峡「弁慶の力石」

Hppa224009●威風 瑞牆山。みずがき山自然公園より

●ハロウィーン 清里・萌木の村Hppa244161 

Hppa244130●シジュウカラ 餌を催促に来ると冬も間近。背景はノリウツギの黄葉

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2009/10/15

白駒池のアニミズム 八ヶ岳山麓No.85

原生林の中に精霊を探すHpbpa133264

 八ヶ岳の山稜を越す麦草峠のそばに白駒池(標高2115メートル)がある。秘境と言ってもよいほどの環境だが、アクセスが整備され、だれでも訪れることができる。原生林の中にできた遊歩道を通って湖岸に出ると、神秘的な視界が世俗に染まった心身をいやしてくれる。「恋しい人を探して原生林に迷い込んだ乙女が、白馬に誘われて池の中に消えた」という伝説があるように、幻想的でメルヘンチックな雰囲気が漂っている。一方、風化した樹木、苔、岩石など、自然の過酷な歳月もひしひしと感じる。

 10月13日、白駒池を訪れたHpcpa133217 。国道沿いの駐車場から原生林の中に入ると、冷気が身にしみ冷蔵庫の中に入ったような感じだ。すぐセーターを着たが、それでも寒い。私たちはそれぞれ、原生林と白駒池に対するイメージを固めて撮影態勢に入った。ネイチャー、ドキュメンタリー、ファンタジー、メルヘン、アニミズムなど、解釈は自由だ。これがしっかりしていないと撮影は散漫になり、結果が出ない。私はアニミズムを選んで、精霊が隠れていそうな場所を探してシャッターをきった。

●倒木の根(写真上右) 原始人なら、精霊の顕現として崇めたであろう

●コケの胞子体(写真上左) 精霊のささやき                                              

Hpipa139251_3Hpgpa133336_3●木もれ日 精霊のいたずらか!! 点滅と移動を繰り返す

Hplpa133321Hpnpa133302●落ち葉とキノコ 精霊が隠れるのにぴったりだ

Hphpa133383_2●波紋 伝説の湖面が揺らぐ

●風音 精霊が騒いでいるHpmpa133434_2

Hpjpa139296●地衣類(藻類と菌類の共同体) 怪しい形は警戒信号か

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2009/09/22

イワナとトリカブト 八ヶ岳山麓No.84

P9208934_2晩期の渓流釣り

 まもなく禁漁になる。秋もこのころになると、なんとなくやるせなさを感じる。禁漁とは、私にとっては、しばらく親友に会えないような状況である。名残惜しいが、来年2月16日(長野県の解禁日)にはまた会えるので、それほど深刻ではない。親友とのつきあいは、ときどき間をおいたほうがよいと思っている。P9208937長くつきあうと、自身も相手もぼろが出てくる。特に、私はスマートなつきあいが苦手なので、ある距離と時間をおいてつきあうほうが良いと思っている。イワナとのつきあいも同じだ。

 9月20日、入渓して竿を出そうとしたら、わきにトリカブトが咲いていた。今年はまだ見ていなかったので、コンパクトカメラ(オリンパスSP-350)を取り出して撮影した。いつものようにスーパーマクロモードで接近して、何回もシャッターをきった。シャッター速度が1/30秒以下なので、手ブレが心配だからだ。撮影を続けているうちに、マルハナバチと思われる昆虫が飛んできて花の中に入っていった。太った体で花の中に入るようすは、いかにも窮屈そうに見えた(写真上左)。ハチにはトリカブトの毒は効かないのだろう。しかし、私は、周囲に花粉が振りまかれるのではないかと警戒した。トリカブトは、それだけ不気味な雰囲気をたたている。

Hpp9208989 その日は、そこでミニサイズと18センチ(写真左)を釣っただけだった。トリカブトの撮影がおもしろかったので、満足な釣りだった。撮影と釣りは、対象とのやりとり、道具の操作、達成感などが共通である。

 1週間ほど前、林道を登って源流地帯に撮影に入った。砂防堰堤の小プールを望遠鏡で覗くと、2匹のイワナが悠然と泳いでいる。P9140203_2竿を持参していないし、好天の平水(溜まり水)では、たとえ竿を出してもまず釣れない。一眼レフに望遠レンズを付けて撮影した(写真右 部分拡大)。レンズの焦点距離と撮影距離から、サイズを計算した。目測の撮影距離なので、誤差を考慮すると体長25~27センチである。小渓流では大物に属する。来季を楽しみにして帰路についた。

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2009/08/30

カメラ・ルーペで初秋を観察 八ヶ岳山麓No.83

標高1400メートルの林縁のようす                                     …コンパクトカメラシリーズ11Hpp8298242_edited1

 私は写真の味方である。ちょっときざな言い方だが、写真のためにひと肌脱げたらうれしい。私自身が写真で人生を充実させてきたので、その資格はあるだろう。写真のおもしろさを少しでも多くの人々に知っていただけたらと願っている。詳細については機会をあらためよう。

 カメラと写真に興味をもちはじめてから50年以上経った。いろいろなおもしろさを経験してきたが、ここ2、3年、写真に対する意識が変わってきた。自身が年を重ねたからなのか、カメラの進化が目覚ましいからか、撮影テクニックが多様化してきたからか、被写体に新鮮味が薄れたからか、Hpp82982715年前、10年前はもちろんのこと、20年前とは明らかに自身を取り巻く写真環境は変わった。それらが影響しているのであろう。

 自身がマンネリズムを感じているのも事実だ。そのようなとき、デジタルコンパクトカメラは新鮮な刺激を与えてくれた。写真がいままでの限界を超えたからだ。カメラとパソコンのデジタル技術のおかげだ。仕上がりの即時確認、感光材料の高感度化、柔軟な色温度(ホワイトバランス)の対応、カラー再現の多様化と自在化、コンパクトカメラの小型化と最短撮影距離の短縮、多重露出の表現性(いずれ解説する予定)などを挙げることができる。

 デジタルで、なぜ「コンパクト」なのか? 今までも、一眼レフとコンパクトカメラは別種の道具であると考えていた。また、フィルムカメラとデジタルカメラも別種の機材であると考えている。一眼レフからコンパクトへ、フィルム(アナログ)からデジタルへ、これは人間が使う道具の系統発生(進化)ではないか。レンジファインダーカメラ(ライカなど)から一眼レフへ移り変ったのも系統進化といえる。銅器から鉄器へ、木材からプラスティックへと人類の道具や素材が変わっていったのと同じであろう。Hpp8298233_edited1これは人間の脳内で起こる思考の宿命ではないか。最近の写真界の状況をそのようの感じている。

 アナログからデジタルへの変革は納得できるとしても、一眼レフからコンパクトへの移行はまだ未確定だ。しかし、近年のデジタルコンパクトカメラの性能を体験すればするほど、その予感がする。ところで、写真を取り巻く環境が大きく変わっているなかで、写真の評価体系も変わるべきなのだが…。

 今回は、デジタルコンパクト得意のマクロ撮影とトリミングで部分拡大を楽しんだ。すなわち虫眼鏡としてカメラを使った。カメラだけが被写体に近づけるので、昆虫などに逃げられる率が少ない。正確に撮影すれば、緻密な観察や種の同定ができる。デジタルコンパクトの魅力の一つだ。なお、写真はすべてオリンパスSP-350で撮影した。

ノハラアザミとスジボソヤマキチョウ(写真最上左) チョウは花に顔を突っ込み夢中で蜜を吸っていた

フシグロセンノウ(写真上右) 森の中ではひときわ目立つ。カメラを近づけると、ラフレシアのように見える花期は長いが、もう末期だ

カエル(写真上左) 池の浅瀬にいた。種は不詳。体長約3センチだった

Hpp8278174_2イワナ 20センチだった。口唇が野生のしぶとさを表している

シシウド 複散形花序の最先端(シュート頂)を撮影した。花火のようだ。先端部は進化中なので、進化の現場を押さえたことになるHpp8278212

ホタルブクロ レンズを花弁に近づけ、花芯をのぞき込んでみた。デジタルコンパクトならではの写真だ。蜜標のパターンが興味深いHpp8298295_3

ツリガネニンジン キキョウ科で花と根の形からこの名が付いた。この時期は残り花であるP8298246_2

ツバメオモトの実 ブルーダイヤモンドと言いたいHpp8318378_2

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2009/08/23

渓流に立つ喜び 八ケ岳山麓No.82

Hpp8178074 初秋の渓流のようす

 森の中で、もっとも至福の時を感じるのは、渓流で釣り糸を垂れているときだ。撮影はもちろん好きだが、労働という意識がしみついていて、やや負担を感じる。それに引き替え、渓流釣りは完全な遊びだ。解放感があり、失敗を恐れる心配がない。釣れなくてもよいのだ。私にとっては釣れないことは失敗ではない。魚がいないときもあれば、いるとわかっても倒木やブッシュで竿を出せないときもある。自分の自由にならないことを相手にしていて、うまくいかないことがあるのは当然だ。

 これは撮影と同じだ。屋外撮影では、被写体を自分の思い通りにはできない。天候、ライティング、季節感、花期など、思い通りにならないときがほとんどだろう。思い通りにならないことを、私は外界と言っている。これに対して内界がある。撮影における内界とは、表現意図(イメージやモチーフなど)と撮影テクニックをさす。これらは自分の思い通りになる。思い通りにならない外界に対して、いかに自身の内界を駆使して作品を仕上げるかが撮影のおもしろいところだ。自然相手の渓流釣りもしかりだ。予想外の展開で、自身のアイディアを工夫するところにおもしろさがある。しかし、釣れなくてもよいからといって、手を抜くわけではない。むしろ、撮影よりは真剣かもしれない。

 私は、源流や支流などの細流が好きだ。自然豊かであるうえに、人の気配が少ない。植林も水辺は控えているので、流域は自然林になっている。水は澄み、樹木、岩、苔、野鳥、草花なが豊富だ。渓流ではいつも一人である。単独行動には危険が付きまとう。携帯電話を持つようになってから少し安心できるようになったが、油断できないことに変わりはない。この緊張感がまたたまらない。Hpp8178061_4細流では、魚の潜んでいる場所(餌を落とすポイント)を読むのがおもしろい。下流や中流よりは、読みを絞れる。読みが当たったときの喜びが、渓流釣りの醍醐味である。読みが当たって魚が出てくれば、私は釣ったことにしている。

 10年ぐらい前から、魚の居場所を読むとき、私は無意識に魚になっているのに気づいた。魚に感情移入できるようになった。魚に遊びはない。常に生きるか死ぬかの真剣勝負である。だから、私もいい加減な気持ちでつき合わない。前項でつりは「遊び」と言ったのと矛盾しない。「遊び」というのは人間社会の概念であるが、魚に対しては真剣勝負である。私は勝つために真剣に遊んでいるのである。わずかでも魚と同じ土壌で思考できるのはうれしい。これが渓流釣りの魅力だ。

Hpp8178052_2 8月17日、朝の最低気温は12.5度Cだった。平年なら15度C以上あるので、あきらかに秋が忍び寄っている。夕刻、いつもより上流に入渓した。さっそく足元から魚が逃げた。そこは実績があり、ポイントだとわかっていたが、倒木があるのであきらめた場所だ。残念だったが、これで先行者や動物が入っていないことがわかった。あとは自身の実力を出しきるだけだ。15メートル遡行して落ち込みを岩が隠している場所を見つけた(写真上右)。通常、魚は下流を意識しないが、岩が下流にあればなおさら好都合だ。岩の先に餌を落とした。3投目で魚がかかった。しかし、両岸が迫った細流では暴れる魚を寄せる場所がない。どうしようかと考えているうちに、岩の下に逃げ込まれてしまった。根がかりのように糸が張ってびくともしない。3分ぐらい糸を張っておいてから緩めると、また魚が動き出した。竿を立て少しずつ下流に引き寄せた。20センチのイワナだった。小さなスペースを見つけて撮影した(写真上左)。その後、15センチと25センチを釣って納竿した。釣り味といい、渓流の雰囲気(写真最上)といい、最高の釣りだった。

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2009/08/03

森の中で最先端カメラを使う 八ケ岳山麓No.81

Hpp7310015オリンパス ペンE-P1試用記

 八ケ岳山麓でも、どんよりとした曇天と雨が続いている。ときどき気が変わったように日が射すが、長続きしない。8月1日は、家内が収穫したジャガイモを天日にさらして表面の土を乾かした。梅干の天日干しも少しできた。渓流釣りは全天候の遊びだが、気も足も渓流には向かない。本格的な夏が待ち遠しい。部屋でモーツァルトを聴いていると、外でウグイスが調子を合わせているように鳴く。天才の音楽は野鳥にも通じるところがあるのかもしれない。部屋にいると、ついパソコンに向かってしまう。これは足の衰えに結びつくだけでなく、思考の偏りになる。私は屋外で、外界と五感でつき合わないと気がすまない。カメラと釣竿は、外界とつき合うときの道具だ。できれば五感でつき合いたい。(写真上 オリンパス ペンE-P1で撮影したホタルブクロ)

Hpp8027527_3Hpp8027530_5 最新型のカメラ、オリンパスPEN E-P1MズイコーデジタルED1442ミリF3.55.6付き)を入手した。オリンパスEシリーズの一眼レフとコンパクトカメラSP-350(私の愛用機)の中間のカメラといっていいだろう。近未来のカメラだと思っている。多機能なので簡単には説明できないが、私にとって大きな特徴だけを挙げてみる。①ミラーと光学ファインダーをなくし、液晶パネルによるライブビュー撮影 ②一眼レフと同等の高画質でありながら超小型(レンズ交換式デジタルカメラでは世界最小) ③多重露出機能 ④動画・音声機能 ⑤フラッシュを外したこと ⑥沈胴式の標準ズームレンズ(写真上 左が沈胴収納状態、右が使用状態) ⑦記録メディアがSDカードになったこと(オリンパスは従来、CFxDピクチャーカード) ⑧優れた撮像素子クリーニング機構、ぐらいだろうか。Hpp8027533 使い心地は、今まで使ってきた一眼レフのEシリーズとSP-350を合わせたフィーリングだが、戸惑うぐらい多機能だ。

 つねづね主張しているのだが、液晶パネルによるライブビュー撮影は、被写体に優しい。銃を構えるような光学ファインダーの撮影に比べ、被写体はカメラを警戒しない。これは人物撮影に限らず、草花や昆虫に対しても同じだと確信する。多重露出は、これから重要になると想像できるスペックなのでうれしい。いままでも撮像素子のゴミはまったく気にならなかったので安心して使える。オリンパスは、ミラーがなくなったので、「デジタル一眼カメラ」(「レフ」を省略)といっているが「一眼」も必要ないと思う。(写真右上 ボディ背面、液晶パネルはスーパーコンパネ表示)

Hpp7310034 山小屋周辺の散歩道で初めて使ってみた。もっとも重要なのはピント合わせだ。撮像素子がマイクロフォーサーズ(17.3×13.0ミリ)とはいえ、コンパクトカメラほど被写界深度は深くない。カメラのAF任せ(オールターゲットAFモード)でバチバチシャッターをきってよいのか心配だった。ウルシの実にピントを合わせたいとき、左手前の葉に合ってしまった(写真上左)。これは当然の結果だ。葉より実のほうが重要だということは、カメラはわからない。それは私の個性であり、主張であり、イメージだからだ。Hpp7310074すなわち、私の脳の中をカメラは知ることができないのである。コンパクトカメラなら深度内におさまるので気にしないのだが、E-P1では気になる。そこで、シングルターゲットAFモードに切り替え、葉の奥にある実にターゲットを合わせて撮影した。シングルターゲットAFモードは、SP-350で百戦錬磨なので簡単である。とりあえずAFの感触は満足できる。

 次にアサギマダラを撮影した。装着レンズは、1442ミリ(35ミリ判換算 2884ミリ)なので、遠くの昆虫をアップには撮影できない。ズームレンズを42ミリに設定し、シングルターゲットAFモードでアサギマダラにターゲットを合わせて撮影した。その約1/5部分(長辺比)を拡大して掲載する(写真右上)。目の前にあるコオニユリも、画角を望遠側にセットしてアップで撮影した(写真右)Hpp7310096ターゲットを花芯に合わせレリーズするだけでこのような画面ができる。渓流にも初めてE-P1を持ち込んだ。ISO1600でもカメラを信頼して撮れるので、暗い森の中ではSP-350より有利だった。カメラ操作はまだ不慣れだが、新鮮な気持ちで撮影できた。

Hpp8020200『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

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2009/07/27

高登谷山登山で考える 八ヶ岳山麓No.80

上野高校山岳部OBの山行会Hpp7267424_2

 私は高校時代、山岳部に所属していた。なぜ山岳部に入ったのか、はっきり覚えていない。中学1年のとき従兄が、奥秩父の甲武信ヶ岳へ連れていってくれたのが山登りの始まりだった。秩父の栃本から約23キロ歩いて甲武信ヶ岳山頂にたどり着いた。当時は登山靴を持っていなかったので、バスケットシューズで歩いた。足の裏が痛くなったのを覚えている。この体験が、山岳部に入る動機に結びついていることはまちがいない。このとき同行した加藤晃君も上野高校山岳部だったので、彼と意気投合したのかもしれない。

 2年生の夏合宿は、北アルプスの裏銀座縦走だった。濁沢から烏帽子岳までブナ立て尾根を登って裏銀座の縦走路へ出た。ブナ立て尾根は標高差1300メートルの急登攀で、日本3大急登の一つである。鍋釜に、テント、シュラフ、食料などを分担して、一人7貫(約26.25キロ)以上の荷物を担いでこの急坂を登った。装備や食料は未発達だったので、非常にかさばって重かった。Hpp7267411 しかし、一人7貫というのは、当時の山岳部としては軽いほうだったと思う。ブナ立て尾根の登攀が初めての山登りの試練だった。その当時は二度と山には来たくないと思うぐらい辛かった。しかし、夕刻縦走路に着いたときの満足感も忘れられない。この体験が、私の一生に大きく影響した。山登りに限らず辛くなってからが本番、勝負どころだという気持ちが植えつけられたのである。その時の仲間3人と高登谷山に登った。

 高登谷山は、山梨県との県境近くにあり、標高1845.9メートルの手ごろな山だ。奥秩父山塊に属する。登山口は標高約1500メートルのなで、高度差約300メートルの行程だ。尾根をほとんど直登するので、道は急勾配(写真上左 登山道下方の視界)。ひと息入れるところがない。しかし、2回休憩して1時間強で頂上に立った。Hpp7267400_3Hpp7267382_2西の方角だけ視界は開けているが、ガスが立ち込めて何も見えない。ときどき、ガスが薄くなると下方にレタス畑が見えるだけだった(写真上右)。期待の八ケ岳を見ないまま下山した。下山時間は約40分だった。久しぶりの登山ではあったが、足腰の調子に不満はなかった。ただバランス感覚の衰えを感じた。学生時代は、下山はほとんど駆け足だった。宙に飛び上がってからどこに着地するか決めていたような気がする。今日は、一歩一歩踏みしめるように降りた。そのとき運動神経の衰えもかみしめた。下山後、好天になった山の全貌を見ながら、ルートを確認した(写真最上 ピーク は鞍部右)。Hpp7267407

 前日は宿舎で、最近の登山ブームについて語り合った。最近は、登山までパックツアーになってしまった。登山のパーティーとは、信頼関係の成り立つメンバーで構成される。リーダーは船長と同じで責任が重い。最後尾を歩きながらルートの決定や天候判断、メンバーの体力と健康状態などに気を配り、安全に責任を持たねばならない。そういうパーティーは一朝一夕にはできないだろう。昔、同じ釜の飯を食った仲間とそんな話をした。卒業してから50年経ってもパーティーが組める友だちがいることは幸せだ(写真左上 左から宇留賀君、加藤君、大地君)。

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