2012/03/16

第43回 まちだ写好会 春の写真展

会場:町田市民ホール・第二ギャラリー(町田市森野2-2-36 TEL 042-728-4300 小田急線町田駅より徒歩8分 Pなし)/会期:3月20日(火)~25日(日) 9:30~16:30(初日は13:00~)

Hp2012dm_2 まちだ写好会は春と秋、年2回の写真展を開催している。年に2回開催する写真クラブは多くないだろう。それだけ写真に情熱を傾けている集団だ。春展は、自由作品と課題作品の2部構成である。自由作品は、出展候補作品を大きなテーブルに並べ、分類区分けして以下の5カテゴリーに分けた(写真下参照)「人間賛歌」「水辺の詩」「心の鏡」「変身願望」「大地」

 課題は「希 望」である。以下にあいさつ文を掲載する。 〔あいさつ文〕 まちだ写好会は、従来から春季写真展においては自由作品のほかに課題作品にも取り組んでおります。今回の課題は「希望」です。私たちは、未来に期待し、願いを込めて生活しています。それを希望とし、いつも実現を心がけています。それは人間の社会だけでなく、自然界も同じです。生物には意志はありませんが、種を保存し、環境に適応しようとしています。これは生物の希望と言えるでしょう。「希望」を表現するには、未来を撮らなければなりません。私たちまちだ写好会のメンバーは、万物が未来に何を期しているのかを撮影しました。ご高覧いただけたら幸いです。Hpp2060520_2Hpp2060517_2Hp_3

 私は、自由作品としてドイツの写真を出展する。ヴァッサーブルグで撮影した「蝴 蝶」という作品だ。夕刻、ホテルへ帰る途中で見つけたシーンだ。ドイツのショーウインドーは、しばしば魅力的である。Hpp6075860それに、ガラスに電柱や電線が映らないので撮りやすい。被写体は、まさに「夜の蝶」だった。ただし、私は“本当”の夜の蝶を知らないが…。 【撮影データ】 オリンパスXZ-1 ズイコーデジタル6~24ミリF1.8~2.5(14ミリ 35ミリ判換算約65ミリ) 絞りF5 オート(1/20秒) -1.0EV ISO640 WBオート

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2010/12/08

「私が共鳴した光景」…横浜写心倶楽部 写真展

                プローバー’01写真展はここをクリック

組み合わせとカテゴリーを重視Hpdmimg_0003

 横浜写心倶楽部の展覧会に初めてつき合った。私は、グループ展の展示を担当する以上は、グループとしての対外的な顔を作ることにしている。今回は、作品の選定からタイトルの吟味、カテゴリーの分類など、メンバーと相談しながら決めた。まず、一人3点の作品を撮影者の希望を尊重して選ぶ。3点が組写真になっていることが絶対条件だ。少なくとも有機的につながっていなければならない。それぞれの作品には組写真として納得できるタイトルを付ける。最後に、全作品を並べて分類し、カテゴリー(目次に匹敵するもの)を決めた。Hp_dmimg_0004この展覧会では「気になる自然」「私と時の移ろい」「人を見るがごとし」に分類した(リスト下参照 ポップアップ可)。始めから計画的に撮影されていないので、総タイトルの「私が共鳴した光景」は総論的になったが、やむを得ない。Hp_5少なくともこれぐらいのことをしないと鑑賞者に対して失礼なのではないか。ご高覧いただけたら幸いだ。

会場:港南区民文化センター「ひまわりの郷」 会期:2010年12月9日(木)~14日(火) 10:00~18:00(初日は14時~、最終日は~18:00)Hppc097843

 

 

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代表作を紹介する

Hp_4『銀 河』(気になる自然) 岡田正久

『男 舞』(気になる自然) 蛭川隆子Hp_7







Hp_6『嫉 妬』
(人を見るがごとし) 井川桂子

 

 

                                                      



 私は、八ヶ岳山麓で撮影したヤマオダマキ「飛揚」(写真下左)とコオニユリ「誘引」(同右)の2点を出品した。どちらもコンパクトカメラの最短撮影距離を生かした写真だ。Hp_2Hp_4

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2010/10/21

スキー部OB会 横浜No.50

山手散策/中華街の会食/元町の喫茶…フォトレポート

 10月19日、千葉大学スキー部のOB会が横浜で開催された。以前にも触れているように、私にとって、スキー部OB会はもっとも大切にしているつきあいの一つである。今年9月、新宿でスキー部OB会発足50周年の祝賀会があった。Hp502p9194599これには、現役から卒業後50年のOBまで70人以上が参加して盛大に祝った(写真左 集合写真撮影時のスナップ)

 創部当時のメンバーは、妙高高原にロッジを建て、家族ぐるみでスキーを楽しみながら旧交を温めてきた。私も皆さんとは50年弱のつきあいだ。今年は、同伴者を含めて23名が参加した。昔合宿で、滑り、飲み、歌い、さわいだ仲間はかけがえがない。今年のOB会で特筆すべきことは、私と同期のH会員が昨シーズン、正指導員の資格を取得したことだ。年々落ち目の私とは対照的だ。

 横浜は、私のホームグラウンドなので副幹事を務めた。横浜でOB会ができるのは、このうえない喜びだ。山手を散策した後、中華街で会食、元町で喫茶を楽しむというプランだ。フォトレポートのつもりだが、肝心の写真が随所で抜けている。幹事役なので撮影に目が向かなかった。バラバラだがレポートすることにした。

Hppa196606_2「アメリカ山公園」でのガイダンス I 会員は横浜をガイドした経験がある。資料持参の解説だ

「イギリス館」 元イギリス領事官なので、RPSJの写真展テーマ「Feel British」の参考になるかもしれない。リビング・ルームはすばらしい(写真下)。庭園のバラが見ごろだったHppa196615_2

「大仏次郎記念館」 テラス「霧笛」で足休め喫茶。まだ30分しか歩いていないのに…Hppa196636_3

Hppa196639「ベーリック・ホール」 1930年建造の西洋館。山手で公開されている西洋館の中ではもっとも広い。写真は食堂

Hppa196643_3「CHARMY横浜元町」のからくり時計 Charmyはジュエリーとメカウオッチの店。タイミングよく時報を撮影し、ほかのメンバーに見せるT会員Hppa196644_2

                  

                  

「菜香新館」の会食 中華風の個室で3卓を囲んで昼食会は盛り上がったHppa196646_8Hppa196649_4Hppa196650_5

          

                  

「関帝廟」へお参り 財神なので“商売”繁盛を祈念。G会員が龍の足を観察して発見。この龍だけ指の数が多いという 眼科医なので観察が緻密だHppa196688_5Hppa196691_3

「江戸清」でみやげ 肉まんを買うために立ち寄ったHppa196687

 最後は「霧笛楼」でケーキとコーヒー、元町ムードを楽しんだ。

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2010/02/25

スキー今昔 八ヶ岳山麓No.95

心がけで足腰を鍛えられるHpp2211613_2

 ここ数年、スキーをはくとき不安感が脳裏をよぎる。運動不足のうえに、筋力や骨が弱っているのではないかという不安を感じるからだ。いろいろな事故を目の当たりにしている。加えて、スキーと関係はないが、かつて母や叔母も骨折した。それも影響している。今年初めてゲレンデに立ったが、気持ちは同じだ。Hpp2211627最初の滑走は慎重に行った。徐々に勘を取り戻し、3本目の滑走では本来の調子になった。

 ところが、今シーズンは昨シーズンより足の疲れが少ない。短いリフトではあるが、ノンストップで滑れる。昨シーズンは途中でひと息いれないと滑れなかった。日ごろ、スキーに備えてできるだけ階段を上ることにしている。また、エスカレーターでは右側を歩いて上っている。歩かなければならないときは、良いチャンスに巡り合ったと喜んでいる。それが効いてきたのだろうか。あきらかに太腿の疲れは少ない。心がけさえあれば、現状維持だけでなく向上も可能だということを知った。

Hpp2211652 若い時から、リフトに乗りながら動物の足跡を探すのが楽しみだった。2月21日もウサギとキツネの足跡をたくさん見た。野生動物はどんな気持ち雪原や森の中を歩いているのか。もちろん食べ物を探すためだろうが、どこに食べ物はあるのだろうか。食物連鎖の頂点に近いキツネにはウサギやネズミが食べられるが、ウサギには何があるのだろうか。雪の下から草を探すのだろうか。ウサギの糞は、よくノイバラのそばに落ちている。ノイバラの実を食べているのだろうか。このようなことを想像するのがスキーの楽しみの一つだ。ところで、最近キツネの足跡が減ったような気がする。Hpp2211672_2Hpp2211663

           

           

Hpp2211679Hpp2211678

                              

                                                   

                              

                                                   

 スキー場はここ数年大きく変わった。たまにしか滑らないから目だつのだろうか。私がよく行く「シャトレーゼ・スキーリゾート八ヶ岳」には3店のレストランはもちろん、貸しスキーとスノーボード、靴から衣装まですべてそろっている。靴のサイズを確認するコーナーも付属している(写真上左)。女性専用のトイレも用意されている。子どもたちにも恵まれた施設がある。専用のゲレンデがあり(写真上左)、屋内にもチャイルド・プレールームがある。Hpp2211639レッスンも受けられる。ぬいぐるみの虎が子どもの人気者だった(写真左)。このような設備とサービスは、昔は考えられないことだった。どこのスキー場も同じなのだろうか。休日とあって大盛況だった。オリンピックの開催期間も影響しているのではないか。

 「シャトレーゼ・スキーリゾート八ヶ岳」は、経営がシャトレーゼという菓子食品の製造・販売会社なので、売店が充実している。私も、ケーキとピザ、ワインを買って帰った。私にとっては、ケーキが買えるスキー場は価値がある。

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2010/01/05

写真展『元気で幸せ』… シャトロー会展

Hpdm_2得意技と応用力

 私がコーチを務めるシャトロー会が6回目の写真展を開催する。シャトロー会会員の撮影姿勢はたいへん柔軟だ。メンバーそれぞれが得意技と得意被写体をもち、どんなテーマや課題があってもびくともしない。得意技でこなせるからだ。一方、得意があるということは応用が利くということなので、どんな被写体でも平気である。撮影が最高におもしろいと感じる境地に立っているのではないか。

 私は、今回のテーマをこなすためにマニュアルを配布した。それはコーチの務めである。メンバーそれぞれが元気になれ、幸せを感じたときにシャッターをきるようお願いした。Hp_7被写体は多彩だ。孫との遊び、祭り、ベランダの至福、富士山、植物の神秘、若者、カルチャーやコミュニティー、動物の躍動、スポーツ、自然とのつき合い、季節の移り変り、朝夕の感動、などだ。会場のあいさつ文を下に掲載する。

会期:2010年1月7日(木)~12日(火) 11:00~19:00(土日開催)/会場:フォトエントランス日比谷(日比谷三井ビル) アクセスはマップ(上左)をクリックしてくださいHpp1060630Hpp1060629

         

         

         

第6回 シャトロー会 写真展 『元気に幸せ』(あいさつ文)

 今、社会の大きな関心事は健康でしょう。元気に暮らせたら、これに勝る幸せはありません。私たちは、元気の根源をカメラで追求してみたいと考えました。そこでメンバーそれぞれは、自身が元気になり、幸せを感じた場面にシャッターをきりました。老若男女の活躍、動植物たちの躍動、自然からのメッセージなど、被写体はさまざまです。これらを次の4つのカテゴリーに分けて展示いたします。

Partner 一緒にいる幸せ/Nature 自然の霊力を感じる/Location 元気で幸せになれる所/Chance 元気で幸せになれる時

 新年早々、ご高覧の皆さまにも元気になっていただけたら幸いです。 シャトロー会コーチ 豊田芳州

 私は、朝と夕方の感動をそれぞ1点ずつ発表した。一つは、白馬山麓で迎えた朝の風景だ。山頂から徐々に浮かび上がってくる山容に『前途洋洋 Chance』とタイトルを付けた。もう一つは、蓼科の日向木場展望台からの夕焼けだ。「有終の美」という言葉がぴったりの風景だったので『有終の時 Chance』というタイトルを付けた。朝夕は、私たちを元気にしてくれると確信する。各カテゴリーの代表作も以下に掲載する。HpHp_2

                                           

       

        

        

                     『学 習』 Partner 中村文江Hp_5

Hpdsc01093『全 開』 Nature     菊谷義美

Hp_5『飛 翔』 Location    矢部 徹

Hp_6『底 力』 Chance    新沼早智子

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2009/08/23

渓流に立つ喜び 八ケ岳山麓No.82

Hpp8178074 初秋の渓流のようす

 森の中で、もっとも至福の時を感じるのは、渓流で釣り糸を垂れているときだ。撮影はもちろん好きだが、労働という意識がしみついていて、やや負担を感じる。それに引き替え、渓流釣りは完全な遊びだ。解放感があり、失敗を恐れる心配がない。釣れなくてもよいのだ。私にとっては釣れないことは失敗ではない。魚がいないときもあれば、いるとわかっても倒木やブッシュで竿を出せないときもある。自分の自由にならないことを相手にしていて、うまくいかないことがあるのは当然だ。

 これは撮影と同じだ。屋外撮影では、被写体を自分の思い通りにはできない。天候、ライティング、季節感、花期など、思い通りにならないときがほとんどだろう。思い通りにならないことを、私は外界と言っている。これに対して内界がある。撮影における内界とは、表現意図(イメージやモチーフなど)と撮影テクニックをさす。これらは自分の思い通りになる。思い通りにならない外界に対して、いかに自身の内界を駆使して作品を仕上げるかが撮影のおもしろいところだ。自然相手の渓流釣りもしかりだ。予想外の展開で、自身のアイディアを工夫するところにおもしろさがある。しかし、釣れなくてもよいからといって、手を抜くわけではない。むしろ、撮影よりは真剣かもしれない。

 私は、源流や支流などの細流が好きだ。自然豊かであるうえに、人の気配が少ない。植林も水辺は控えているので、流域は自然林になっている。水は澄み、樹木、岩、苔、野鳥、草花なが豊富だ。渓流ではいつも一人である。単独行動には危険が付きまとう。携帯電話を持つようになってから少し安心できるようになったが、油断できないことに変わりはない。この緊張感がまたたまらない。Hpp8178061_4細流では、魚の潜んでいる場所(餌を落とすポイント)を読むのがおもしろい。下流や中流よりは、読みを絞れる。読みが当たったときの喜びが、渓流釣りの醍醐味である。読みが当たって魚が出てくれば、私は釣ったことにしている。

 10年ぐらい前から、魚の居場所を読むとき、私は無意識に魚になっているのに気づいた。魚に感情移入できるようになった。魚に遊びはない。常に生きるか死ぬかの真剣勝負である。だから、私もいい加減な気持ちでつき合わない。前項でつりは「遊び」と言ったのと矛盾しない。「遊び」というのは人間社会の概念であるが、魚に対しては真剣勝負である。私は勝つために真剣に遊んでいるのである。わずかでも魚と同じ土壌で思考できるのはうれしい。これが渓流釣りの魅力だ。

Hpp8178052_2 8月17日、朝の最低気温は12.5度Cだった。平年なら15度C以上あるので、あきらかに秋が忍び寄っている。夕刻、いつもより上流に入渓した。さっそく足元から魚が逃げた。そこは実績があり、ポイントだとわかっていたが、倒木があるのであきらめた場所だ。残念だったが、これで先行者や動物が入っていないことがわかった。あとは自身の実力を出しきるだけだ。15メートル遡行して落ち込みを岩が隠している場所を見つけた(写真上右)。通常、魚は下流を意識しないが、岩が下流にあればなおさら好都合だ。岩の先に餌を落とした。3投目で魚がかかった。しかし、両岸が迫った細流では暴れる魚を寄せる場所がない。どうしようかと考えているうちに、岩の下に逃げ込まれてしまった。根がかりのように糸が張ってびくともしない。3分ぐらい糸を張っておいてから緩めると、また魚が動き出した。竿を立て少しずつ下流に引き寄せた。20センチのイワナだった。小さなスペースを見つけて撮影した(写真上左)。その後、15センチと25センチを釣って納竿した。釣り味といい、渓流の雰囲気(写真最上)といい、最高の釣りだった。

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2007/11/26

カスタマイズド・カーを楽しむ ドイツNo.54

Hppb229267 自分だけの車体塗装

 ドイツは自動車王国である。アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、BMWなどの名車が生産され、アウトバーン(高速道路)が網の目のように張り巡らされている。アウトバーンは原則として速度制限がない。日本の感覚で走っていると、豆粒のように見えた後続車 Hppb269279 が、あっというまに背後の迫っている。車を使って国内を自由に高速移動できる便利さは、日本の比ではない。一方、ドライバーのモラールは高い。高速道路で後続車から警告を発せられることはほとんどない。信号のない横断歩道に歩行者が立っていると必ず止まる。車社会は成熟していると言えるだろう。ミュンヘンのフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港と市内を結ぶリムジンバスに乗るだけでも、それはわかる(写真左)。

Hppb229263_2  ドイツ人の車に対する感覚は日本とは違うようだ。機能や性能だけでなく遊びの感覚が目だつ。その代表的な現れがカスタム・ペイントである。車体を自分の好みに塗装してしまうのだ。それも、子どもが絵を描くように稚拙である。車に対して、日本にはないユーモアと茶目っ気を感じる。実用性が十分満たされた後にくる遊び心が拡大していると思われる。ドイツは環境王国でHppb229258_7 Hppb229262_2 もあるが、環境より自動車のほうが重要だという(岩村偉史 著『異文化としてのドイツ』三修社 刊)。ドイツ人は車が大好きなのだ。それでも、町では排気ガスのにおいはほとんどしない。排気ガス規制は、明らかに厳しいと思われる。写真のカスタマイズド・カーは、上からドイツのバンベルクとフランクフルト、フランスのコルマール(2点)で撮影したもの。

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2007/07/06

写真とは何か

“Photo is”10,000人の写真展2007

 東京ミッドタウンホールで開催されている『“Photo is”10,000人の写真展2007』を鑑賞した。富士フイルムイメージングが主催した写真展で、Hp07p7078952_2 10,568人の作品が一堂に展示されていた。「あなたにとって写真とは?」と いう問いに対する答えである。個人的な体験はもちろん、好きな被写体、テクニカルな作品、正攻法の写真論的な答えまで、実に多様である。日本写真家協会(JPS)が協力した『“Photo is”小学生の眼』と、全日本写真材料商組合連合会(営業写真館)が協力した『“Photo is”家族の絆』もすばらしかった。写真展としてはもっとも大規模なものであろう。

 私も昨年に引き続いて出展した。今年は、ドイツのシュツットガルトで撮影した金色像の写真である。宙を飛ぶようなポーズは躍動感があり、飛躍するドイツの栄光を感じたので、「Photo is Glory(栄光)」というタイトルを付けた(写真上)。できればカメラで人々の栄光をたくさん写してみたいと思う。

Hp06p7078949  昨年は、フランスのコルマールで撮影したスナップ゚を出品した。犬を介してフランス人カップルとの間に流れた暗黙の共感を写したもので、「Photo is コミュニケーション」というタイトルを付けた(写真右)。写真家と被写体との間に共感や意志の疎通があったら、世間はもっと愉快になるのではないか。

 東京会場展は7月8日(日)17:00まで開催されている。その後、福岡、広島、大阪、名古屋、札幌、仙台で開催される。詳細は、http://photo-is.jpへアクセスしてください。

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2007/05/24

「組写真」講座のご案内

ライフワークとチームワークを充実させる

 映像の分野でモンタージュ論というのがある。ロシアの映画作家、エイゼンシュタイン(1898~1948年)らが提唱した理論だ。「映画の理論」(岩崎 昶 著 岩波新書)によると、「われわれは眼の前にある二つのものをいつも有機的に結びつけて考える心理作用を持っている。『だから、映画の場合、どんなフィルムの断片でも二つをつなぎ合わせると、それは必ず結合して新しい観念、新しい性質を持つようになる』」というのがモンタージュ論の基本だ。この理論が日本に入ってきたときには、映画人だけでなく、演劇や美術、またすべての芸術に適用され、もてはやされたと同書に書かれている。

 映画が観客を感動させることができるのは、たくさんのカットの組み合わせと積み重ねが新しいイメージや情感を作るからだ。モンタージュの理論をいかに活用するかが映画監督の技量というものだろう。写真でも、二つのカットを並べるとその二つにはないイメージや情感が生まれる。これを生かしたのが組写真だ。

 一枚写真がテクニックを競い、インパクトやダイナミズムを重視するのに対し。組写真は文章に近い。自分の感動や体験、主張や提案などを第三者へ伝えられるかがポイントだ。すなわち内容が重視される。名取洋之助 著「写真の読み方」(岩波新書)の巻頭に「写真は文字のかわりになるほど、すばらしい能力を持っています。もちろん、文字を書くほどかんたんでもないし、また、抽象的な思想を表現することは困難ですが、ほんのちょっと説明をつければ、写真の弱点も救われますし、読み方もやさしくなり、万国万人に共通して、文字以上の働きをします。」と書かれている。同じく名取洋之助 著「組写真の作り方」(慶友社 刊)には、組写真は写真の長所を生かし短所を抑え、自身の考えや主張、提案など表現するのに役立つ(要旨)、と書かれている。写真には、文章に並ぶ表現力があるということだ。

 私は、撮影でライフワークに取り組むときがもっとも充実している。ライフワークでは多くのことを伝えたいので、当然、組写真になる。組写真は、また、私の好きな音楽にも似ている。上述の「映画の理論」には、エイゼンシュタインの映像(画面構成)とプロコフィエフの音楽(楽譜)を対応させて見せる図版がはさまれている。エイゼンシュタインは、視覚(映像)と聴覚(音楽)の関係を真正面から取り組んで解明しようとしている。組写真は、文章を書けるだけでなく音楽にも近づける要素があるということだろう。

 組写真でドキュメントやレポートはもちろん、詩やエッセー、論文なども作れる。一方、音楽の好きな人は幻想曲やワルツ、夜想曲、交響曲、ソナタなどを“作曲”するつもりで撮影し、写真を組み合わせてはどうか。私は、組写真作品をまとめることの魅力を多くの方々に知ってもらいたいと願っている。

Hp_14  富士フイルムイメージング(株)が『グループフォトコンテスト2007』を主催している。参加者は3~6人でグループを作り、6枚の組写真で応募する。グループで撮影に出かける経験は私もたくさんあるが、グループで発表したり応募するというのは珍しい。しかし、撮影にいっしょに出かけたメンバーと、さらにいっしょに組写真を作るというのは、写友の輪が広がり密になると思う。もちろん、個人的に撮影した作品を持ち寄って組写真にまとめてもよい。これからの写真のスタイルだと確信する。

 このコンテストに備えて『組写真講座』を開講する。講師は茶谷 茂氏と私だ。今後のスケジュールは別紙のとおり(表をクリック)。この機会に組写真の魅力を知っていただけたら幸いだ。

 これに関する問い合わせは、富士フイルムイメージング(株)プロフェッショナル営業部 澤田(☎03-5962-6680)まで。

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2007/01/22

「ゆとり」を生かせない日本 ドイツNo.34

勉強すれば好きなことができるHp1127pc122817

 ゆとり教育の見直しが検討されている。授業時間の短縮が基礎学力に影響しているというのが問題点だ。授業の進め方や内容を変えなければ、時間を短縮したぶんだけ物理的に勉強する時間が少なくなり、学力は低下するだろう。それは覚悟のうえでゆとり教育を選択したのではないのか。問題は、ゆとりの時間をどう過ごすかだったはずだ。

 ドイツの学校は、通常、午前中だけの授業だ。ノルドリンゲンやランズベルグでは、昼ごろ学校帰りの子どもや、学校へ迎えに行く親たちのようすをしばしば見た。小学生はもちろんだが、ギムナジウム(中学校)から早く帰る生徒も見かけた(写真)。明らかに日本より授業時間は短い。学力を補うため家庭で家族が面倒を見るという話を聞いたことがある。しかし、最近では、ドイツの子どもの基礎学力が低下してきたという。それでも、午前授業Hp1126pc122816の方針は変わっていない。

 11年間、専門学校の教壇に立った私の体験では、日本は小・中学校や家庭でのしつけがおろそかになっていると強く感じた。「学用品やハンカチなどを忘れない」「宿題や課題を提出する(約束を守る)」「町でゴミを捨てない(他人に迷惑をかけない)」「人と会ったらあいさつをする」など、生活の基本が身についていない学生がけっこういる。ということは、「学校では一生懸命授業を受けなければならない」という学習への動機づけもおろそかになっていると推測される。

Hp1152p5299783 私は、だれでも一生懸命勉強すれば学力に差はついても、落伍者が出るとは思えない。まず、勉強することのおもしろさを知ってもらうことが必要だ。おもしろさがわからなくても、勉強することは「他人に迷惑をかけない」ことと同じように守らなければならないことだと知ってもらうことだろう。また、社会人として生きていくためには、「興味がなくてもやらなければならないことがある」と、学校や家庭は教えねばならない。一方、好きなことだけやりたければ、人並み以上に勉強しなければならない。私は、勉強は幸せにつながると信ずる。勉強する目標を示すことだ。ここで幸せとは、サッカーの選手や芸術家になること、お金持ちになること、タレントになること、何でもよい。夢を実現するには、基礎学力を身につけることが不可欠であり、早道であることを伝えるべきだ。学者になるのでなければ、優等生になる必要はない。国語なら漢字が正確に書ける、数学なら分数や小数の四則ができるぐらいで十分ではないか。なお、法律と予算だけでは、子どもへの学習の動機づけはできないだろう。

Hp1321pc122903  PISA調査といわれる国際学力調査の結果(2001年)では、日本はドイツより基礎学力が高い。ドイツではショックだったようだが、日本は問題にするほどの結果ではないと思う。むしろ、ゆとりの時間に何をするかが問題だ。学校や社会は、放課後の部活や、休日の過ごし方をアドバイスすべきだろう。余暇の使い方が得意な人間はたくさんいる。彼らのノウハウを結集すべきだと思う。ゆとりの時間で得たことも幸せにつながるはずだ。

 国立教育政策研究所総括研究員の坂野慎二氏のレポートによると、ドイツの小学生は基礎学校(日本の小学校)で4年間勉強すると(10歳になる)、3つのコースのどれかを選ぶという。大学進学のためのギムナジウム(中学校と高等学校)、職人や専門労働者などを目ざす基幹学校、中堅技術者などを目ざす実科学校の3つだ。すなわち、10歳で将来どんな勉強や仕事をするか選択し、それに合わせて学校が決まる。好きなことを生かせるチャンスを選べるということだ。ドイツには、多様な価値観と評価体系があることがわかる。日本の子どもたちにとって、この多様性がもう少し必要なのではないか。それを考慮すると、「ゆとり」はその環境作りに役立つだろう。

【写真解説】 上から順に〔1〕ランズベルグのギムナジウム 放課後、帰り支度をしてサッカーを楽しむ生徒たち。(2006年12月12日(火)11時27分) 〔2〕ランズベルグのギムナジウム 帰り支度をして校庭で会話する女生徒。(2006年12月12日(火)11時26分) 〔3〕ノルドリンゲンの小学校 自転車で帰る小学生。背景は小学校。にわか雨が降ってきて、車で迎えに来る親もいた。(2006年5月29日(月)11時52分) 〔4〕ランズベルグの中央広場 帰路のバスを待つ生徒たち。(2006年12月12日(火)13時21分)

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