2017/07/16

キビタキの営巣に付き合う 八ヶ岳山麓No.207

 昨年から今年にかけて、野鳥の営巣(子育て)をいくつか観察した。野鳥の健気な子育てに感心した。 私たちは、山小屋の近くに、巣箱を4つばかり置いてある。いずれも家内の手作りだ。今までに、3つの巣箱には、営巣の実績がある。Hp616p6163247 今年は、今までに無視されていた4番目の巣箱にも、ヤマガラが営巣した。そのほかに、今年は、台所の窓辺にもキビタキが営巣し、窓が開けられないという事態になった(写真右 巣立つ前日の夕方、親が子に餌を与える。写真下左 台所の窓辺にできたキビタキの巣)。

 野鳥たちが、巣の場所を決めるのには、いろいろな理由がある。まず、天敵に襲われない安全な所だ。Hpp5200146 キビタキにとって安全な場所とどのようなところだろうか? 野生動物のテンやキツネ、カラス、猛禽類、蛇などから、巣を守れるかどうかが、第一条件だ。そのためには、人の生活圏がもっとも安全だ。キビタキは、山小屋の台所の窓の格子を利用して巣を作った。ちょっと山小屋を空けていたすきに作られてしまった。私たちが山小屋に来たときには、巣は完成していた(5月14日)。窓辺を占領されて、私たちの生活のし方に支障が生じてきた。Hp2p4180492 しかし、私たちは、キビタキのために、多少の不便を我慢することにした。キビタキのほうも、我々を信じてよいのかどうかを、チェックしているようだった。カップルで私たちのそばまで飛んできて、観察しているようだ。キビタキは、めったに見られる鳥ではない。しかし、今年のこの時期にはしょっちゅう観察できた。鳴き声も頻繁に聞こえた。巣を作ってからしばらくは卵はない。その間に周囲の環境を点検しているようだ。Hpp5280417

 私たちが、家の裏に回て、巣を直接、観察しよとすると、つがいは巣を離れ、近くの樹に留まって、様子をうかがっている。警戒しているようだ。私たちはしかたなく、室内から窓越しに観察することにした。窓ガラスは、半透明の型板ガラスだ。シルエットがやっと見える程度の観察になる。1個目の卵が確認できたのは、5月16日だった。2個目を26日に確認、私が2階の窓から自撮り棒で撮影したのが28日だ(写真上右 卵2個を確認)。このときも、自撮り棒を窓から少し出しただけで、親は巣を離れてしまった。Hpp6163290

 約1週間、山小屋を空けて、6月7日に山小屋へ戻ると、2個の卵は孵っていた。それからは、親の熱心な育児が、窓越しに感じられた。早朝から夕方暗くなるまで、親は代わる代わる、約5分から20分間隔で餌を運んでくる。夜は交替で巣に留まって子ども の面倒を見る。

 図鑑によると、キビタキはスズメ目ヒタキ科で体長14センチとあるが、これはオスのサイズではないか。メスは、2センチぐらい大きく見えた。オスの色は胸が黄色で、白と黒の羽のコントラストが美しい。ひと目でキビタキとわかる。メスは全身が黄褐色で地味だ。ガラス越しのシルエットでも、オスとメスの区別がつく。夜に、室内灯のよって照明されたオスの羽の白い部分が見えた(写真右)。

Hpp6163265Hp616p6163254 6月16日の夕方、家内が出かけているときに、我が家の犬が大声で鳴き喚いた。私の犬に対する対応が気に入らないらしい。耳をつんざくほどの鳴き声に、私は、窓の外のキビタキが気になった。 せっかく、私たちが大切にしてきたキビタキに対する思いを無にするような鳴き方だったからだ。これではキビタキの親は、心配だろう。窓の外に不穏な気配を感じた。シルエットの親と雛が動き始めた。羽ばたきの練習も始めた。巣立ちの間近なことを予感した。(写真上2点 巣立つ前日の雛のようす。羽ばたきの練習をしている)

Hpp6170210  Hpp6170212 翌日、6月17日、朝から窓の外が活気づいている。親が盛んに餌を運んでくる。そして出かけるときは、口に白いものを加えて飛んでいく。巣の中の糞を運び出しているのだ。どんな野鳥も、巣立ち直前になると巣の中に溜まっている子どもの糞を運び出す。ますます、巣立ちが近いことが予想された。10時ごろ、親に巣立ちをうながされて、2羽がほとんど同時に巣だっていった。Hpp6240235なんとも言えない寂しさと達成感が胸に込み上げてきた。約1か月に及ぶキビタキの営巣に立ち会って、人間の育児や夫婦の絆について、あらためて考えさせられた。 (写真上2点 巣立ちの日の親子。同右 キビタキの巣材、下が窓側、白いものは糞の残り)

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2016/12/02

感動の大原治雄ブラジル展

『ブラジルの光、家族の風景』

 去る11月16日、清里フォトアートミュージアム(K★MoPA)へ、大原治雄展を鑑賞に出かけた。パンフレット(写真右下2点)だけの予備知識で出かけたのだが、素晴らしい写真展だった。どうしても書かずにはいられない衝動にかられ、遅ればせながら執筆した。同展は12月4日(日)までだ。 http://www.kmopa.com/

 Hpp1img大原治雄氏(1909~1999)は、高知県生まれのブラジル移民である。写真家である前に移民としての多くの蓄積があった。写真を始めたのは、24歳で結婚したときからだという。家族の写真を撮ろうとしたきっけは、これから始まる一族の壮大なドラマを予感して記録しようとしたのか、カメラに興味を持ちはじめたのか、写真のテクニックに引かれたのか、私は、これらすべてではなかったかと推測した。大原氏の胸の内を図ることはできないが、彼の移民としての経験が反映したことは間違いあるまい。移民としてブラジル・パラナ州ロンドリーナを開拓するという、無から有を生ずるような過酷な生き方に立ち向かい、それにめどが立ったときに、所帯を持ち、何か一つのことに打ち込んでみたいというのは、自然な心の動きではないだろか。Hpp2img未開の大地を農園にするまでには、並々ならぬ苦労があったようだ。

 大原氏の写真の傾向や作風について感じたことに触れよう。『ブラジルの光、家族の風景』というタイトルがついているが、まず、自身のセルフポートレートが目立つ。これは何を意味するのだろうか。私には、家族の始まりは、自身 大原治雄であるということを伝えたいのではないか。現在、70人を超す大家族となった大原家の元は大原治雄であることはまちがいない。たくさんの子どもや配偶者、孫の写真の中に、ときどき大原自身のポートレートが散りばめられている。これほど多くのセルフポートレートが目だつ写真展は見たことがない。私が最も気に入ったセルフポートレートは、最初の壁面に飾ってあった1点だ。木に寄りかかり、足を投げだして座っている足元にコーヒーポッドが置かれている。大原氏の顔はフレーミングの中にはない。背中と左腕の一部が写っているだけだ。タイトルは、確か『休憩』か『休息』だったと記憶している。私は、このシーンの大原氏に感情移入することができる。顔をみせずに自身の休憩時間を表現しようという、この写真のモチーフに共感する。多様なセルフポートレートと写真展での公表は、私もまねしたいと思った。

 カメラを手にしたときには、過酷な開拓の時期はすでに終わっていたのかもしれないが、彼の作品には、労働の厳しさや不安な気持ちは写っていない。おそらく撮影はしたが、作品展には展示しなかったのであろう。家族の幸せとブラジルの大地を讃えたいという意図のもとに写真展は編集されていると思う。移民という日本国を代表した親善使節の役割を思えば、当然な編集意図だろう。『霜害の後のコーヒー農園』という作品があった。胸高直径2メートル以上もある巨木の切り株の上に二人の男が乗り、周囲を見渡しているスナップような記念写真である。霜害といえば、農業に従事する人にとっては深刻な事態だろう。この状況下で、かつて切り倒したであろう大木の上に立って、お山の大将のようにふるまっているのは、いったいどんな心境なのだろうか。霜害の実情を示す写真は簡単に撮れるはずだ。この写真が、大原治雄氏の写真観を象徴した作品ではないか。前述のセルフポートレートといい、霜害の写真といい、婉曲的に表現しようとしていると思う。

 シルエットと陰影を生かした作品が目立つ。タイトルの『ブラジルの光、家族の風景』のとおり、光のモチーフを多用している。ちなみに、シルエットも陰影も光のモチーフに属する。Hp4img_0004パンフレットの表紙を構成する2点の作品は、シルエットの写真だ。どちらも、背景の空が美しく、人物は大地と一体になってシルエットになっている。解説書の4ページ目『本展のみどころ』(写真左)には、『ブラジルの大地を切り開いたからこそ現れた「空」と「水平線」であり、大原はこのモチーフを繰り返し撮影しています』とある。パンフレット上段の写真の人物は大原氏だという。『苦難の日々を乗り越えた喜びに溢れる姿ですが、大原自身は画面右端に立っていることから、この写真の主役がブラジルの大地と空であることがわかります』。シルエットのテクニックを生かしたセルフポートレートである。

 最後の入出口に近い壁面には、パターン写真が展示されていた。草花や納屋の片隅に見つけた農機具などをパターン化した作品群だ。モノクロ写真なので、当然、ブラジルの光と陰影を生かした作品だ。大原氏のカメラアイの一端を知ることができた。

 大原氏の孫の一人が写真家になっている。サウロ・ハルオ・オオハラ氏が撮影した大原治雄氏のスナップが展示されていた。 ベットに腰かけている晩年の姿だ。ものさびしそうに見えるが、孫に撮影されている幸福感も読み取れた。私も写真家の端くれなので、うらやましく感じた。

 私は、鑑賞し終わったとき、大河ドラマを見たような気がした。そして、写真にもこのようなスケールの大きい表現が可能だということを知った。今までは、写真は映画や音楽にはかなわないと思っていたが、決してそのようなことはないと確信した。Hppb160141_edited2
 なお、サウロ・ハルオ・オオハラ氏が、祖父の故郷・高知県を訪れたときに撮り下ろした『Aurora de Reencontro 再会の夜明け』展も同館で展示されている。参照:田園の誘惑

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2016/04/15

ドイツよりドイツ的なつばめグリル ドイツNo.143

 エルディンガーのヴァイスビールを飲んで、ニシンの酢漬けを食べると、ハンブルグ港のカモメの鳴き声が聞こえてきた。今日は、デザートも。つばめグリルのイチゴのベイクドチーズケーキはドイツのよりおいしい。(携帯電話で撮影)201604151813000_3
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2016/03/14

モクレン去りて、サクラ来る 横浜No.90

2016年 桜の現状
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 好きなハクモクレンも満開を過ぎ、終盤に入った。次はサクラである。3月13日、鶴見川河畔の桜のようすを見に出かけた。大きく膨らんだつぼみには、ピンクが顔をのぞかせ、今にも開きそうだった。昨年は、この木の下に、たくさんの車椅子が集まり、にぎやかな宴が催されていた。     
     待ちわびる 歓喜の宴 花見酒

Hpp3130219_4 施設の人々も、桜との再会に胸を膨らませていることだろう。今年の横浜の予想開花日は322日、満開の予想日は330日だ。Hpp3130232_2

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2013/10/31

上越市の酒祭りと朝市

Hpimg_2SAKEまつり

 10月27日、上越高田の酒祭りへ行ってきた。昼過ぎに会場に到着、さっそく試飲グラスを買った。グラスと天然水のセットで1,000円である。天然水がセットになっているのは、試飲後、水を飲んで口中を真っ新な状態にしておくためだろうか? 口の中に前の酒が少しでも残っていてはほんとうの試飲にはならない。しかし、私は次から次へと飲み続けた。要するに飲めればよかったのだ。いずれもさすが本場の美味い酒だと思ったが、正確な試飲にはならなかった。当日は雨が降ったり止んだり、日が射したりの目まぐるしい天候だったが、酒祭りの参加者には関係ない。私も試飲グラスを片手に酒造各社を巡り回った。グラスに1/3ぐらい注いでくれるのだが、たくさんの酒造を訪れ、いくつかのブランドを飲み重ねていくと、けっこう酔っぱらうものだ。いい気分で会場をあとにした。来年も参加したいものだ。(写真右上は「SAKEまつり」のチラシ。裏面に会場の地図が掲載されている)

●試飲グラス 天然水とセットで1000円Hppa300152_3Hppa279579_2

●雨天と日ざしの入り混じる「SAKEまつり」会場Hppa279580Hppa279624

●SAKEまつりのキャラクター登場。歌瀬 吟と上杉謙信公Hppa279599Hppa279628

                                  
                                
                                  

                                                                                                                             ●上越市は発酵の町。酒以外にこんなものもあるHppa279613_3Hppa279615_3








●穏やかではないが、ユーモラスなTシャツが販売されていたHp_pa279648_3Hppa279651_2Hp_tpa279655_2

直江津の朝市

Hppa289759 翌日は、直江津の朝市へ買い物に出かけた。「三・八の市」と呼ばれ、毎月3日/8日/13日/18日/23日/28日の午前7時から正午ごろまで開かれる。わたくしたちは10時ごろ現地へ到着した。路上に品物を並べただけの素朴な市である。もちろん屋台もある。扱っている品物は実に多様だ。野菜、果物、海産物、練り製品、穀類、卵、草花、衣類、履物、刃物、陶器類、どら焼き、などなど。生活用品はすべてそろう。ドイツのマルクトを思い出した。私たちは、野菜や渋柿(干し柿用)、米、ネマガリダケの瓶詰、昆布、たらこなどを仕入れた。どの店でも目線を合わせると声をかけられる。身の上話から世間話、ペットの話など、会話が弾む。八百屋で、私たちが家庭菜園をやっているときり出すと、栽培のし方まで教えてくれた。会話は朝市の名物である。(写真上左 朝市の立つ三八通り)

● 八百屋 ●路面にシートを敷いただけの素朴な店がいいHppa289732_2Hppa289738_2

●刃物屋 万能野菜調理器と記念のナイフを買った ●乾物屋 たらこを買ったHppa289750_3
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●宝石屋? 翡翠の原石などを売っていた ●靴下屋Hppa289734Hppa289737

 

●洋品店 ●果物屋 ツルウメモドキのリースを売っていたHppa289744Hppa289741



              

              

             

              

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2008/07/27

アルザス・エギスハイムの余談 ドイツNo.69

Hpp6120113 巨大な草刈り機

 撮影の帰り道、「作業中」の標識が立っている先に、トラクターのようなものが見えた。動きと音は戦車のように物々しい。車体の横からバーが出ていて土手の草を刈っているのだとHpp6120117_2わかった。 目の前で方向転換するとき撮影させてもらった。 親切に実演しようかと言ってくれたが、遠慮した(写真右)。アルザス地方のブドウ畑は大規模経営だ。日本と違ってぶどう棚もない。畑の土手も均一な造りなので、トラクターのような草刈り機が使えるのだ。日本で使ったら、土手が壊れてしまいそうだ。

Hpp6117731 ラベルがユニークなビール

 食料品店でビールを欲しいといったら、すぐ持ってきたのがこのビールだ(写真左)。L' Alsacienneという名まえだ。エギスハイムの二つの店で同じものを勧められたところをみると、アルザスの名物のようだ。それとも、我々が外国人だと知って、勧めたのか。Hpp6117736 コルクの栓がしてあり、容量は750ml、アルコール度数は7.8パーセントだ。濃厚な喉ごしだった。大胆なデザインとエスプリが痛快だ。世界中のビールについて書いた本にも載っていない。日本で輸入しても、おそらく販売できないだろう?

中高年の素朴なゲームHpp6113028

 初老の男性二人が重そうな鉄(材質は不詳)の球を投げていた。15メートルぐらい離れた目標をめがけて投げている。カーリングのようなゲームに見えたが、ルールはわからない。それよりも、中高年が、ずいぶん素朴なゲームを楽しんでいるのに興味があった。球を投げるフォームが板についているので、やり慣れているのだろう。日本では最近、石蹴りや缶蹴りなどの“路面ゲーム”を見たことがない。いずれも子どもの遊びだが、通過儀礼のようなゲームで、子どもにとっては存在価値があると思う。これを、大人がやっていることに感じ入った。午前中のエギスハイムでの出来事だ。私は彼らと同年輩だ。日本で自分がプレーすることを想像してみたが…。

エギスハイムについては『町並みとワインが自慢 ドイツNo.65』を参照

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