2009/11/30

’09夏の思い出 八ヶ岳山麓No.88

二重露出で葉に夏を焼き付けるHppb301695

 今年の夏は、山小屋のベランダにコクワガタが3匹も現れた。例年は1~2匹なので、異常な状況だ。3匹目が来たときは、驚喜した。コクワガタは貴重な昆虫だ。標高1400メートルの森では、めったにめぐり合わない。数が少ないだけでなく、存在感と風格がある。虫かごに入れて飼っていたが、夏の終わりに森へ放した。おそらく、今夏かぎりの出来事だろう。

Hpp8172171_2 オリンパスペンE-P1を使って「夏の思い出」を撮影した。夏に撮影しておいたコクワガタの写真(写真左)をパソコンで処理してシルエット調(ネガ)のプリントを作り、桜の紅葉と二重露出した。盛夏、コクワガタが元気に葉の上を歩き回るシーンをイメージした。思い出は、現在から過去を振り返ることだ。このようなモチーフでは二重露出のテクニックが有効だ。しかし、二重露出にかぎらず、撮影者のモチーフしだいで、写真は「過去」も「未来」も撮れる。Hppb301726_3どんな被写体にも過去と未来があり、私たち自身の心情も時の流れに従っているからだ。私たちは、常に過去から学び未来に期待する。「過去と未来」は撮影の重要なモチーフなのである。 参照:『理想的な多重露出撮影 横浜No.40』

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2009/09/09

理想的な多重露出撮影 横浜No.40

オリンパス ペンE-P1を使って考えたことHpp8250616_edited1

 デジタルカメラの重要なスペックとして多重露出機構を挙げることができる。今まで、ニコンとペンタックスがそれを採用してきたが、オリンパスも初めてペンE-P1に2重露出機構を採用した。重要だと言ったのは、これからの写真表現で、有効なテクニックになると考えているからだ。また、仕上がりを即確認できるデジタルカメラには搭載する価値があるスペックだ。写真上右 横浜開国博Y150の人気もの「ラ・マシン」)

 オリンパスの2重露出機構の特徴は、第2露出のとき、液晶モニター(ファインダー)に第1露出の画像がオーバーラップして見えることだ写真下参照)それにより、第1露出画像と第2露出画像の位置関係(フレーミング)を思いどおりに調節できる。Hpp9030811今まで多重露出撮影で最も困難とされていたことが解決された。多重露出では、第1露出と第2露出の露出バランスも難しい。しかし、フレーミングが思いどおりにできれば、露出のバランスに集中できるので、全体として2重撮影はかなりやさしくなったと言える。写真右上 2重露出で構成した恐竜と卵。下の写真は左から第1露出の恐竜、は第2露出時の液晶モニター、は第2露出の卵)

Hpp9030810_3Hpp9038416Hpp9030812

         

                                           

 今まで、多重露出という撮影テクニックは、軽んじられてきた。カメラが持っている可能性だけで、再現はもちろん表現には向かないと思われてきたのである。いわばカメラの「お遊び」と思われてきた。それにはわけがある。画面構成が思いどおりにできないうえに、偶然に頼る撮影だったからだ。加えて、セルフコッキング機構(多重露出防止機構)のなかった昔のカメラでは、2重露出は失敗の“最右翼”だった。そのためだろうか、正統派写真からは遠い存在であった。すなわち、写真の主流から外れた位置づけにあった。

 多重露出に対して通常の撮影をワンショット撮影ということにしよう。なぜワンショットでなければいけないのか。以前にも本ブログで触れたことがあるが、多重露出は写真の重要な視覚である。今から70年以上前にモホリー・ナギ(1895~1946年)は、8つの写真的視覚像の中の一つに「同時視(Simultaneous seeing)」を挙げている。多重露出や多重焼き付け(プリント)で、時間的、空間的に違ういくつかのシーンを一つの画面にまとめることの意義を指摘した。例えば、二つの時刻や場所を一つの画面で見せることができる。因果関係も一つの画面で表現できるかもしれない。Hpp8250716_edited1_2これにより、異次元の時間や空間を創造できる。これは一種のモンタージュで、大きなカメラアイになる。表現としての写真なら、どんな手段も許されてよいのではないか。多重露出に“写真”という手かせ足かせをはめる必要はないと考える。(写真上左 コスモワールドの観覧車)

 ワンショット撮影が限界にきているとは思わないが、さらに深い写真を追求するのであれば多重露出撮影を気にかけてもよいのではないか。オリンパス ペンE-P1の出現で多重露出は「お遊び」ではなくなった。構想やイメージしだいで画期的な作品ができるだろう。参照:米山明六の「多重・テーブルフォト・花たち」常設館豊田芳州のTheme「イルカのクリスマス 横浜No.17」

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2009/08/03

森の中で最先端カメラを使う 八ケ岳山麓No.81

Hpp7310015オリンパス ペンE-P1試用記

 八ケ岳山麓でも、どんよりとした曇天と雨が続いている。ときどき気が変わったように日が射すが、長続きしない。8月1日は、家内が収穫したジャガイモを天日にさらして表面の土を乾かした。梅干の天日干しも少しできた。渓流釣りは全天候の遊びだが、気も足も渓流には向かない。本格的な夏が待ち遠しい。部屋でモーツァルトを聴いていると、外でウグイスが調子を合わせているように鳴く。天才の音楽は野鳥にも通じるところがあるのかもしれない。部屋にいると、ついパソコンに向かってしまう。これは足の衰えに結びつくだけでなく、思考の偏りになる。私は屋外で、外界と五感でつき合わないと気がすまない。カメラと釣竿は、外界とつき合うときの道具だ。できれば五感でつき合いたい。(写真上 オリンパス ペンE-P1で撮影したホタルブクロ)

Hpp8027527_3Hpp8027530_5 最新型のカメラ、オリンパスPEN E-P1MズイコーデジタルED1442ミリF3.55.6付き)を入手した。オリンパスEシリーズの一眼レフとコンパクトカメラSP-350(私の愛用機)の中間のカメラといっていいだろう。近未来のカメラだと思っている。多機能なので簡単には説明できないが、私にとって大きな特徴だけを挙げてみる。①ミラーと光学ファインダーをなくし、液晶パネルによるライブビュー撮影 ②一眼レフと同等の高画質でありながら超小型(レンズ交換式デジタルカメラでは世界最小) ③多重露出機能 ④動画・音声機能 ⑤フラッシュを外したこと ⑥沈胴式の標準ズームレンズ(写真上 左が沈胴収納状態、右が使用状態) ⑦記録メディアがSDカードになったこと(オリンパスは従来、CFxDピクチャーカード) ⑧優れた撮像素子クリーニング機構、ぐらいだろうか。Hpp8027533 使い心地は、今まで使ってきた一眼レフのEシリーズとSP-350を合わせたフィーリングだが、戸惑うぐらい多機能だ。

 つねづね主張しているのだが、液晶パネルによるライブビュー撮影は、被写体に優しい。銃を構えるような光学ファインダーの撮影に比べ、被写体はカメラを警戒しない。これは人物撮影に限らず、草花や昆虫に対しても同じだと確信する。多重露出は、これから重要になると想像できるスペックなのでうれしい。いままでも撮像素子のゴミはまったく気にならなかったので安心して使える。オリンパスは、ミラーがなくなったので、「デジタル一眼カメラ」(「レフ」を省略)といっているが「一眼」も必要ないと思う。(写真右上 ボディ背面、液晶パネルはスーパーコンパネ表示)

Hpp7310034 山小屋周辺の散歩道で初めて使ってみた。もっとも重要なのはピント合わせだ。撮像素子がマイクロフォーサーズ(17.3×13.0ミリ)とはいえ、コンパクトカメラほど被写界深度は深くない。カメラのAF任せ(オールターゲットAFモード)でバチバチシャッターをきってよいのか心配だった。ウルシの実にピントを合わせたいとき、左手前の葉に合ってしまった(写真上左)。これは当然の結果だ。葉より実のほうが重要だということは、カメラはわからない。それは私の個性であり、主張であり、イメージだからだ。Hpp7310074すなわち、私の脳の中をカメラは知ることができないのである。コンパクトカメラなら深度内におさまるので気にしないのだが、E-P1では気になる。そこで、シングルターゲットAFモードに切り替え、葉の奥にある実にターゲットを合わせて撮影した。シングルターゲットAFモードは、SP-350で百戦錬磨なので簡単である。とりあえずAFの感触は満足できる。

 次にアサギマダラを撮影した。装着レンズは、1442ミリ(35ミリ判換算 2884ミリ)なので、遠くの昆虫をアップには撮影できない。ズームレンズを42ミリに設定し、シングルターゲットAFモードでアサギマダラにターゲットを合わせて撮影した。その約1/5部分(長辺比)を拡大して掲載する(写真右上)。目の前にあるコオニユリも、画角を望遠側にセットしてアップで撮影した(写真右)Hpp7310096ターゲットを花芯に合わせレリーズするだけでこのような画面ができる。渓流にも初めてE-P1を持ち込んだ。ISO1600でもカメラを信頼して撮れるので、暗い森の中ではSP-350より有利だった。カメラ操作はまだ不慣れだが、新鮮な気持ちで撮影できた。

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2009/02/13

梅の撮影テクニック 横浜No.30

大倉山梅園は、今が撮りごろHpp2120026

 2月12日、横浜の大倉山公園へ梅を撮影に行った。花の状態は、おそらく撮影に絶好だろう。以前にも触れたが、梅の撮影は早めが良い。梅で春の兆しや温もりを表現するのである。撮影に当たっては、次のようなキーワードを挙げて取Hpp2120011り組んだ。 兆し 前兆 予兆 前触れ 幸先 予感 胸騒ぎ 瑞祥 吉祥 目覚め 色づく 芽生える 胎動 蕾む 発芽 萌える 温もり etc. 何の心構えもなしにカメラを構えても撮影はうまくいかないだろう。 モチーフやイメージなどのスキーマ(心構え)を作るためにキーワードが必要なのだ。

【作例A フレーミングによるモチーフの違い】小枝にできた花とつぼみから春の兆しの状況を作ってみた。フレーミングを変えた3点で「関係」の違いをHpp2120017実験してみた。〔1〕(右上)は、花とつぼみの比較である。形や素性(キャラクター)の違い異質な組み合わせがモチーフだ。 〔2〕(右中)は、下部のつぼみから上部の花への時の流れで春の移り変わりを感じさせる。〔3〕(右下)は、花とつぼみの気まぐれがモチーフだ。最下部の花が加わることで、印象が変わってくる。

【作例B 露出によるモチーフの違い】季節感をモチーフにするには、画面に二つの季節が必要である。春の雰囲気を撮影したいなら、「春と冬」、「春と夏」、また「今春と昨秋」など、二つの季節を同時に見せてねらいを強調するのである。梅の撮影では光を意識して季節感を出す。日ざしや明部は春を、日陰や暗部は冬を表すと決める。画面内に日ざしや明部が多ければ春になった雰囲気になり、日陰や暗部が多ければまだ冬の雰囲気になる。露出調節で光と日陰の配分を変えて3カット撮ってみた。〔1〕(下左)は冬で春遠い、〔2〕(下中)は春遠からじ、〔3〕(下右)は春の温もり、が感じられれば成功だが…。同じ被写体からこのようなモチーフの違いを発想するのは、マニュアル露出調節の思考である。オート露出調節では、このような発想はできないだろう。Hpp2120066_2Hpp2120071Hpp2120074

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