衣類の回収ボックス
フランスで見つけたリユースの例
パリの滞在中、一日だけ地方へ出かけた。ローマ遺跡があるというサンリス(Senlis)を目ざしてパリ北駅を出発した。途中、列車からバスへ乗り換えるシャンティイ(Chantilly)は、ガイドブックでもページを割いている名所である(写真下左 シャンティイの駅舎)。目的地のサンリスよりは知られた町だ。サンリスについては機会をあらためよう。ここではシャンティイで体験したことについて触れる。パリの北約40キロにあるシャンティイは、フランス競馬のメッカだという(写真右上 バス停に建っている広告塔)。サンリスへ向かうバスの車窓から見えた広大な馬の施設には、ゆとりと風格を感じた。馬具博物館もあるという。
さて、シャンティイでの乗り継ぎ時間が1時間もある。バス停で時間をもてあましていたところ、すぐ隣りにゴミ箱が3つ置かれているのに気づいた(写真下左)。2つはガラス製品のリサイクル回収箱、もう一つは衣類のリユース回収箱だった。日本ではめったに見ない衣類の回収箱に引かれて撮影した。
投入口にはみ出した衣類が見える。フランス語の辞書と首っ引きで、書かれていることを翻訳してみた。まず、環境問題を標榜する絵とキャッチコピーが目に入った(写真右)。コピーには「環境と雇用のために日々行動しましょう」とある。そして、この回収箱を利用する規定が次のように書かれていた(写真下左)。「下記の指示に従うように」とあり、箱に入れる規定が書かれている。「提供物はこの中へ。あなたの衣類と布地をきれいで乾いた袋に入れて提供してください。また、あなたの靴も一足をひもでくくって提出してください。革製品もけっこうです」。「汚れた、そして濡れた繊維はお断りします」とある。当局は、シャンティイ地区の町の共同体のようだ。なお、「雇用のため……」という意味が、私にはわからない。私はフランス語にはまったく縁がないので、翻訳がまちがっているのかもしれない。
最近、衣替えを兼ねて衣類を取捨選択した。捨てようと決めたものの中には、未練が残るだけでなく、十分役立つものがある。それらを有効に活用できたらと考えるのは私だけではあるまい。フランスで見たこの回収箱は地球レベルで有効ではないか。しかし、じゃまなものを捨てるためにこのような回収箱を悪用されることも考えられる。このシステムは人々の良識によって成り立つのであろう。
『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.
最近のコメント