2009/11/30

’09夏の思い出 八ヶ岳山麓No.88

二重露出で葉に夏を焼き付けるHppb301695

 今年の夏は、山小屋のベランダにコクワガタが3匹も現れた。例年は1~2匹なので、異常な状況だ。3匹目が来たときは、驚喜した。コクワガタは貴重な昆虫だ。標高1400メートルの森では、めったにめぐり合わない。数が少ないだけでなく、存在感と風格がある。虫かごに入れて飼っていたが、夏の終わりに森へ放した。おそらく、今夏かぎりの出来事だろう。

Hpp8172171_2 オリンパスペンE-P1を使って「夏の思い出」を撮影した。夏に撮影しておいたコクワガタの写真(写真左)をパソコンで処理してシルエット調(ネガ)のプリントを作り、桜の紅葉と二重露出した。盛夏、コクワガタが元気に葉の上を歩き回るシーンをイメージした。思い出は、現在から過去を振り返ることだ。このようなモチーフでは二重露出のテクニックが有効だ。しかし、二重露出にかぎらず、撮影者のモチーフしだいで、写真は「過去」も「未来」も撮れる。Hppb301726_3どんな被写体にも過去と未来があり、私たち自身の心情も時の流れに従っているからだ。私たちは、常に過去から学び未来に期待する。「過去と未来」は撮影の重要なモチーフなのである。 参照:『理想的な多重露出撮影 横浜No.40』

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用は、ご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (2)

2009/11/17

動物の痕跡と初雪…フォトレポート         八ヶ岳山麓No.87

11月中旬の森のようす…コンパクトカメラシリーズ12Hppb170205

 11月17日の最低気温は-1度Cだった。朝から雪が降り、半日で7センチほど積もった。昨日、八ヶ岳はまだ冠雪していなかったので、今日の雪は初雪だろう。スタッドレス・タイヤを装着していなかったので、急いでチェーンを巻いた。日中はだいぶ融けたが、林床にはまだ雪が残っている。人工雪のスキー場には恵みの雪だ。なお、今秋は、不在中の温度計が-6度Cを記録していた。散歩道で観察した自然を中心にレポートする。写真はすべてオリンパスSP-350で撮影した。

Hppb160130●オサムシの仲間 道路の真ん中を歩いていた。図鑑を調べたが種を同定はできなかった

Hppb160071●キツネの糞 大量の毛が交じっている。こしのある太い毛なので、ネズミ以外の動物を食べたようだ。タヌキを食べたのかもしれないが不可解だ

Hppb160114●ウサギの糞 草原にたくさん散らばっていた。ササの良い香りがする

Hppb160094_2●シャクナゲの新芽 すでに来年の芽が膨らんでいた。これから氷点下10度以下の長い冬が待ち構えている

Hppb160063_2●シイタケ この時期にシイタケが採れるのは珍しい。日差しと雨が影響しているようだ。すき焼きで本物の香りを味わった

Hppb160164●残照の天狗山(1822メートル) 閑散としたレタス畑の上に輝いていた

●雪が積もった林床Hppb170222

Hppb170199●食べられた大根の葉 シカを警戒していたが、ウサギにやられたようだ。柵の下から潜ったのか

●初雪とマユミの実(写真最上)

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用は、ご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted. 

| | コメント (0)

2009/09/25

霧が丘写友会 写真展「自然の表情」

さまざまな表情を8つに分けるHpdm

 霧が丘写友会のメンバーは、いろいろな被写体にチャレンジしている。その中で、もっとも共通な被写体は「自然」である。そこで、自然を被写体に選んで写真展を開催することにした。しかし、自然を美しく撮った作品を並べただけではグループ展の意味がない。自然は多様な表情と状態を見せる。それは、「きれい」とか「美しい」といったひと言では片づけられないものだ。その表情を以下の8つのカテゴリーに分けて、展示することにした。「いのち」「盛衰」「輝き」「神秘」「不可解」「変身」「奔放」「優しさ」

Hpdm_2 このように整理すると、作品に撮影者のキャラクターが見えて興味深い。それは、メンバーそれぞれの自然観とも言える。ご高覧いただけたら幸いだ。

会場:横浜市都筑区総合庁舎1F・区民ホール

期日:9月25日(金)~30日(水) 10:00~16:00P9259101P9259098

Hpp9259093Hpp9259095_2

         

          

          

 私は、春の写真を2点を発表した。1点は、津久井湖畔で撮影した桜と菜の花の写真だ。草花が春爛漫を「謳歌」(写真下左)しているように感じたので「輝き」のカテゴリーに展示した。もう1点は、ヤナギ(クロヤナギと思われる)の花芽を撮影した写真だ。たくさんの毛虫が春の温もりに酔っているように見えたので「うごめき」(写真下右)とタイトルを付け、「変身」のカテゴリーに加えた。

Hpp5060273Hpp4040029_2

        

        

         

        

        

        

【補足】 展示会場は、都筑区総合庁舎のホールにある。通常のギャラリーと違い、鑑賞者は通りがかりの一般市民である。写真について造詣の浅い方もたくさんいらっしゃる。多くの素朴な質問があり、担当者はそれに応えるのに忙しかったようだ。しかし、これはギャラリーのあり方として健全な姿だと思う。写真関係者のみが来訪するギャラリーでは、写真の輪の広がりに限界があるのではないか。日本でも美術館やデパートの特設会場などが写真の普及に貢献しているが、もっとポピュラーな雰囲気で写真を“交流鑑賞”する場があってよいと思った。区民ホールは、照明などの観賞条件は良くないが、写真の内容やできばえはわかる。このような展示は写真界には必要だと感じた。

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用は、ご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/09/22

イワナとトリカブト 八ヶ岳山麓No.84

P9208934_2晩期の渓流釣り

 まもなく禁漁になる。秋もこのころになると、なんとなくやるせなさを感じる。禁漁とは、私にとっては、しばらく親友に会えないような状況である。名残惜しいが、来年2月16日(長野県の解禁日)にはまた会えるので、それほど深刻ではない。親友とのつきあいは、ときどき間をおいたほうがよいと思っている。P9208937長くつきあうと、自身も相手もぼろが出てくる。特に、私はスマートなつきあいが苦手なので、ある距離と時間をおいてつきあうほうが良いと思っている。イワナとのつきあいも同じだ。

 9月20日、入渓して竿を出そうとしたら、わきにトリカブトが咲いていた。今年はまだ見ていなかったので、コンパクトカメラ(オリンパスSP-350)を取り出して撮影した。いつものようにスーパーマクロモードで接近して、何回もシャッターをきった。シャッター速度が1/30秒以下なので、手ブレが心配だからだ。撮影を続けているうちに、マルハナバチと思われる昆虫が飛んできて花の中に入っていった。太った体で花の中に入るようすは、いかにも窮屈そうに見えた(写真上左)。ハチにはトリカブトの毒は効かないのだろう。しかし、私は、周囲に花粉が振りまかれるのではないかと警戒した。トリカブトは、それだけ不気味な雰囲気をたたている。

Hpp9208989 その日は、そこでミニサイズと18センチ(写真左)を釣っただけだった。トリカブトの撮影がおもしろかったので、満足な釣りだった。撮影と釣りは、対象とのやりとり、道具の操作、達成感などが共通である。

 1週間ほど前、林道を登って源流地帯に撮影に入った。砂防堰堤の小プールを望遠鏡で覗くと、2匹のイワナが悠然と泳いでいる。P9140203_2竿を持参していないし、好天の平水(溜まり水)では、たとえ竿を出してもまず釣れない。一眼レフに望遠レンズを付けて撮影した(写真右 部分拡大)。レンズの焦点距離と撮影距離から、サイズを計算した。目測の撮影距離なので、誤差を考慮すると体長25~27センチである。小渓流では大物に属する。来季を楽しみにして帰路についた。

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用は、ご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/08/30

カメラ・ルーペで初秋を観察 八ヶ岳山麓No.83

標高1400メートルの林縁のようす                                     …コンパクトカメラシリーズ11Hpp8298242_edited1

 私は写真の味方である。ちょっときざな言い方だが、写真のためにひと肌脱げたらうれしい。私自身が写真で人生を充実させてきたので、その資格はあるだろう。写真のおもしろさを少しでも多くの人々に知っていただけたらと願っている。詳細については機会をあらためよう。

 カメラと写真に興味をもちはじめてから50年以上経った。いろいろなおもしろさを経験してきたが、ここ2、3年、写真に対する意識が変わってきた。自身が年を重ねたからなのか、カメラの進化が目覚ましいからか、撮影テクニックが多様化してきたからか、被写体に新鮮味が薄れたからか、Hpp82982715年前、10年前はもちろんのこと、20年前とは明らかに自身を取り巻く写真環境は変わった。それらが影響しているのであろう。

 自身がマンネリズムを感じているのも事実だ。そのようなとき、デジタルコンパクトカメラは新鮮な刺激を与えてくれた。写真がいままでの限界を超えたからだ。カメラとパソコンのデジタル技術のおかげだ。仕上がりの即時確認、感光材料の高感度化、柔軟な色温度(ホワイトバランス)の対応、カラー再現の多様化と自在化、コンパクトカメラの小型化と最短撮影距離の短縮、多重露出の表現性(いずれ解説する予定)などを挙げることができる。

 デジタルで、なぜ「コンパクト」なのか? 今までも、一眼レフとコンパクトカメラは別種の道具であると考えていた。また、フィルムカメラとデジタルカメラも別種の機材であると考えている。一眼レフからコンパクトへ、フィルム(アナログ)からデジタルへ、これは人間が使う道具の系統発生(進化)ではないか。レンジファインダーカメラ(ライカなど)から一眼レフへ移り変ったのも系統進化といえる。銅器から鉄器へ、木材からプラスティックへと人類の道具や素材が変わっていったのと同じであろう。Hpp8298233_edited1これは人間の脳内で起こる思考の宿命ではないか。最近の写真界の状況をそのようの感じている。

 アナログからデジタルへの変革は納得できるとしても、一眼レフからコンパクトへの移行はまだ未確定だ。しかし、近年のデジタルコンパクトカメラの性能を体験すればするほど、その予感がする。ところで、写真を取り巻く環境が大きく変わっているなかで、写真の評価体系も変わるべきなのだが…。

 今回は、デジタルコンパクト得意のマクロ撮影とトリミングで部分拡大を楽しんだ。すなわち虫眼鏡としてカメラを使った。カメラだけが被写体に近づけるので、昆虫などに逃げられる率が少ない。正確に撮影すれば、緻密な観察や種の同定ができる。デジタルコンパクトの魅力の一つだ。なお、写真はすべてオリンパスSP-350で撮影した。

ノハラアザミとスジボソヤマキチョウ(写真最上左) チョウは花に顔を突っ込み夢中で蜜を吸っていた

フシグロセンノウ(写真上右) 森の中ではひときわ目立つ。カメラを近づけると、ラフレシアのように見える花期は長いが、もう末期だ

カエル(写真上左) 池の浅瀬にいた。種は不詳。体長約3センチだった

Hpp8278174_2イワナ 20センチだった。口唇が野生のしぶとさを表している

シシウド 複散形花序の最先端(シュート頂)を撮影した。花火のようだ。先端部は進化中なので、進化の現場を押さえたことになるHpp8278212

ホタルブクロ レンズを花弁に近づけ、花芯をのぞき込んでみた。デジタルコンパクトならではの写真だ。蜜標のパターンが興味深いHpp8298295_3

ツリガネニンジン キキョウ科で花と根の形からこの名が付いた。この時期は残り花であるP8298246_2

ツバメオモトの実 ブルーダイヤモンドと言いたいHpp8318378_2

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用は、ご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/08/17

コンパクトカメラでアリを追跡 横浜No.39

驚異的なアリのパワー…コンパクトカメラシリーズ10Hpp8097564

 先日、犬の散歩中に、アリがセミの羽を運んでいる場面を見つけた(写真右 住宅の壁際で運ぶアリ)。体長の45倍はある羽根を口でくわえて運んでいる。セミの羽がヨットの帆のように見えたので気づいた。地面を引きずっている場面は以前見たことはあるが、持ち(くわえ)運んでいるのは珍しい。すぐ自宅からデジタルコンパクトカメラを持ってきて撮影を始めた。アリは路面を歩くだけでなく、建物の垂直の壁もトラバース(横歩き)しながら運んでいる(写真下左右)。巣までの距離約8メートルを約10分間で追跡した。そのパワーに感心する一方、中腰で撮影し続ける自身の持久力の無さを悔やんだ。

 アリの仕事を人間の運動量に換算してみた。運んでいるセミの羽根の長さはアリの体長(約8ミリ)の4倍、重量は2倍としよう(少なめに見積もった)。Hpp8097578Hpp8097609巣までの距離は約8メートルあった。私自身の身長や体重からアリの運動量を換算すると、私は、長さ6.7メートル、重量120キログラムの荷物を運ぶことになる。8メートルはアリの体長の1000倍のなので、私の身長から換算すると約1.6キロメートルになる。120キロの荷物を1.6キロメートル、8分で運ぶのは、もちろん不可能だ。しかも、アリは口でくわえ持ち上げている。もちろん脚力もすごい。これは無意味な比較のように思えるが、荒唐無稽とも言えないのではないか。人間にはそれだけの可能性があるのかもしれない。まずは、アリのパワーをたたえたい。

 今年は、7月下旬から8月上旬にかけてセミが大発生(羽化)していた。時期が集中しているだけなのか、今年はあきらかに鳴き声が耳に障る。特にミンミンゼミの声や姿が目だつ。朝4時ごろからなき始め、夜に入ってもときどき鳴き声が聞こえた。梅雨明けがはっきりせず、晴れ間が少なかったせいか、セミにとっては秋が早く来そうな予感があったのかもしれない。羽化するチャンスを逃してはいけないと思って、このような事態になったのか。(写真下右は、餌を運び込んだ巣)Hpp8097615

 これを喜んでいるのは、アリやカラスだ。路上には、セミの死骸がたくさん転がっている。車輪でつぶされたものもある。それらはアリにとっては、おそらくご馳走だろう。体内が共鳴箱のようにがらんどうなセミでも、カラスにとっては餌になるようだ。生きているセミを追いかけている場面も観察した。餌が豊富になると、カラスやアリに限らず、地域の生態系が変わるかもしれない。当然、繁殖の機会も増えたのではないか。幼虫が地中で過ごす数年後に、また同じ事態が起こるのだろうか。

                                

 撮影にはオリンパスSP-350(デジタルコンパクトカメラ)を使った。50カット以上は撮影しただろうか。AFはスーパーマクロモードで、ほとんどカメラ任せである。ときどきターゲットAFを選んだ。ローポジションなので液晶パネルを斜め上からのぞき込む。Hpimg しかし、だいたいのフレーミングはわかる。アリに声援を送りながら愉快な撮影だった。【補足】近くに住む奥健太郎君が撮影した、羽化のシーンを紹介する。(写真左)(参照:「写真自由主義 八ケ岳山麓No.78」 「森林浴のシーズン 八ケ岳山麓No.76」)

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/06/30

初夏の大物釣行記 八ケ岳山麓No.77

三度目の正直で釣った27センチHp090621p6216668_2

 ブログにはいろいろな目的や意義がある。私の主意はプロフィールに書いているが、自慢話もそれに加えたい一つだ。私は、ふだん自慢話はしないことにしているが、ブログでは控えないことにしている。ブログはミニコミであるうえに、読んでくれる人は気心が知れているので、「ア、いつもの話だ」と無視してくれるだろう。また、検索などで私のページへいらした方には、とりとめもない話に、すぐ退散するであろう。

 自慢話をすることは、精神の健康につながるのではないか。自慢の事実を思い出しながらにんまりすることは心地よい。逆の立場に立つと、おもしろい自慢話は歓迎だが、それはめったにない。私も、他人にはつまらない自慢話をしよう。

 6月21日は、午前中、雨だった。夕方、渓流へ入ったが、やや増水という感じだ。水は澄んでいる。つりには絶好の条件だ。増水による笹濁りは釣果に結びつくかもしれないが、釣り人にとっては、やや姑息な手段である。Hpp6216644_4なぜなら、相手を煙に巻いて切りつけるようなものだからだ(もちろん水を濁すような行為はしたことはない)。澄んでいれば、魚と対等に渡り合える。森には低い日ざしが入り、影をとられやすい。真剣勝負には願ってもない条件だ。

 小さな落ち込みで12センチのイワナが釣れた。すぐ放流し、1段上の中渕へ移って15センチが釣れた。針を外そうとして竿を倒し、先端から2段目を折ってしまった。今日は中止しようかと思ったが、少しでも初夏の渓流に立っていたかったので、竿の折れ目を粘着テープで補強して上流へ向かった。雨上がりの渓流は実に気持ちが良い。それに、魚の出方が活発だ。先行者は入っていないし、どこでも釣れそうだ。

 実績のある大渕に出た。ポイントはたくさんあるが、まず渕尻へ餌を投げた。先行者がいないとき、盛期の魚は渕尻で流れてくる餌を待っている。今まで近づきすぎて渕尻から魚が逃げる場面はしばしば見てきた。渕尻から攻めるのは定石だ。腰を低く構えた1投目で魚が戯れている手ごたえを感じた。軽くあわせると強烈な引きで抵抗された。魚は対岸へ逃げようと必死だ。手前に引き寄せられない。折れた竿は完全な調子ではないので、力任せにはできない。2分ぐらいやり取りしてからハリスを切られて逃げられた。

Hpp6216683_2 イワナは、一度バレてもまた餌を追ってくる。針と餌を新しくして再度振り込んだ。前回よりは渕の奥、落ち込み(小さな滝)近くだ。そこからゆっくりと手前にナチュラルドリフトする。目印に変化が出た。あきらかに食っている。ゆっくり合わせたが、竿が弓なりになるほどの引きだった。魚は対岸のぶっつけ(写真上左の右部の岩)に向かって引いていく。水面下には絶好の隠れ家があるのだろう。いつも誘いをかけていた場所だ。読みは当たっていた。そこに引き込まれないよう懸命に竿を立てた。しかし、急に竿が空を切った。ハリスを切られて、またバレた。あきらかに同じ魚だ。

 もう一度チャレンジするために、針を大きくしハリスも太くした。食いついたところは渕のほぼ中央だった。やはり強引な暴れ方だ。ランディングネットは持参していないので、岸に引き寄せることは難しいと判断し、強引に抜き上げた。アユ釣り師が魚を取り込むやり方だ。落ち葉の上にズシッと落ちたのは約27センチのイワナだった。撮影はたいへんだった。静かになったと思ってカメラを構えると、思い出したように暴れだす。実は夕食のおかずを釣りに来たのだが、撮影しているうちに食べる気がしなくなり、放流した。大きな魚には情が移るのである。この勝負、後味の悪い勝ち方だった。

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/06/09

森林浴のシーズン 八ケ岳山麓No.76

フォト・レポート「初夏の森から」…コンパクトカメラシリーズ8Hpp6066091_2

 標高1400メートルの森では、日増しに緑が濃くなっていく。植物の活動は最高潮に向かって勢いがある。それに合わせて動物も活発に動く。渓流では、小昆虫が水面を飛び交い、それをねらってイワナが跳ねる(釣り用語ではライズと言う)。晴れるとハルゼミの大合唱が始まり、フォルテシモに達する。日がかげると、短いコーダで沈黙に移る。シカの子どもが菜園のそばに現れた。親から自立するチャンスをうかがっているのだろうか。めったに見られない“事件”だった。

Hpp6066036 森林浴には絶好の季節だ。この時期、樹木は大量のフィトンチッドを発散している。「森林の力」(谷田貝光克 著 現代書林 刊)によると、樹木が発散するものには3種類ある。一つはフィトンチッドで、私たちの健康に良いといわれている物質だ。本来は、植物の自己防衛物質であるが、殺菌・抗菌作用があり、人間にも効能がある。次はマイナスイオンだ。人は、マイナスイオンとプラスイオンのバランス(イオンバランス)が適正であると、脳が活性化されリラクゼーション効果が高くなり、ストレスに強くなるという。山間地(森林)はマイナスイオンが多く、もっともバランスがとれた場所であるという。三番目は「気」である。日本の修験者は、修行しながらこの気を霊気として取り込み、超能力を身につけたと言われる。中国古来の気功法とは、体内の気と血行をよくして病気の予防と治療をはかるものだ。気功師は、樹木が発する気を自身の体内に取り込んで、それを患者に送り込む。

 私は、「気」を植物が発する情報ととらえている。「沈黙の森から」を撮影するときに、もっとも重視しなければならないものだ。私も森林浴の効果を確信している。森の中で生活すると、あきらかに元気になる。コンパクトカメラ(オリンパスSP-350)で撮影した初夏の森をレポートする。

ミミナシテンナンショウ(写真上右)は、苞の内側から撮影すると、異様なステンドグラスが写る。これが蜜標になるのだろうか

ギンラン(写真上左) 今までは、森の奥で見つけたが、これは林道わきの草むらの中にあった。深山で見たい花だ

Hpp6065950_2 レンゲツツジは現在、満開だ。しかし、私は蕾みのほうに興味がある。パワーを蓄えたうごめきには気を感じる

Hpp6065897オシダの中をのぞき込むと、奈落の底に引き込まれるような気がする

Hpp6065855 ドウダンツツジは人造湖の畔で咲いていた。高原では、秋、格段の紅葉を見せる

P6076239エゾハルゼミは、鳴き声が共鳴して、位置を特定するのが難しい。また意外にすばしこくて近づきにくい。モズの速贄ならすぐ撮影できる

Hpp6066193シイタケのほだ木を5本仕入れた。さっそく出てきたが、無骨な形状は商品にはならない。しかし、香りは申し分ない 

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2009/04/19

野毛山動物園 横浜No.31

動物との素朴なふれ合いHpp4184444_2

               

 18日は、子どもたちの写生会に同行して野毛山動物園へ行った。野毛山動物園は規模こそ小さいが、それゆえに動物との距離感が近く感じられ、なじみやすい。家庭的なのだ。子どもの写生会にはうってつけだ。大規模な動物園には、それなりの良さはあるが、子どもたちにとってもっとも重要なのは、動物との素朴なふれ合いだ。必ずしも大規模で最先端の必要はないと思う。Hpp4184449私が初めて動物園に行ったときの感動は、動物との対面だった。なにしろ、おもしろかったことを思い出す。人間以外の動物を知り、自身と比較して好奇心がわいてくる。だれにも、動物との初めての出会いがある。その機会を大切にしたい。そのとき、ライオンやトラ、ゾウでなくてもよい。パンダやコアラの必要はない。珍獣・奇獣や趣向を凝らした見せ方は後から体験すればよいと思う。(写真上左 レッサーパンダ)

Hpp4184600Hpp4184628 野毛山動物園の目玉は、「なかよし広場」だ。ハツカネズミ、ニワトリ、モルモットなどの小動物とじかに触れ合える。触ったり、抱いたり、広場内を移動できる(写真上2点)。Hpp4184561子どもたちの嬉々とした声がうれしかった。また、園内に放し飼いにされた白孔雀が目の前で何回も羽を広げたのには驚いた(写真右)。子どもだけでなく大人も歓声を上げていた。

 私は八ヶ岳山麓で出会いたいと願っている動物を撮影した(写真下 左からアナグマ、タヌキ、ツキノワグマ)。Hpp4184472Hpp4184482Hpp4184498残念ながらキツネとテンはいなかった。シカは撮りそこなった。ツキノワグマは刺激があると、冬眠中でも出てくると聞いてゾッとした(写真上3点)。

Hpp4184624 ほかに印象に残ったのは、神奈川野生動物救護会が進めている「海ゴミGO ME!!」というキャンペーンとレポートだ。海で拾ったゴミが展示されていて、私たちがいかに海をゴミ捨て場にしているかがわかった。未来のある子どもたちの目にさらし、自覚を促したいのであろう(写真上右)。

 野毛山動物園は、昭和26年(1951年)開園された野毛山遊園地が母体となり、昭和39年、動物園部分だけを無料で開放したのが始まりだ。私たちも、横浜に引っ越してきてから家族連れでしばしば訪れたものだ。一時、金沢動物園やよこはま動物園(ズーラシア)などに圧されて影が薄くなったが、私は現在でもその価値を認めている。シュツットガルトのウイルヘルマ動・植物園を2回見学した。Hpp4184633そのとき感じたのは、「子どもの好奇心を喚起し、興味に応えられる」という設計と運営理念だった。野毛山動物園も、これをモットーにしてほしい。

                             

 昔、楽しませてくれたシロクマがいなくなり、その場所が「しろくまの家」として保存されていた。ほぼ実物大のシロクマ模型が置かれているのが懐かしくもあり、寂しくもあった。(写真上左 シロクマの模型と遊べるようになっている) cf.野毛山動物園

                           

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)

2008/12/29

野鳥のキャラクターがわかる 八ヶ岳山麓No.68

12月下旬の森のようす…フォトレポートHppc287247_2

 この時期、山小屋のベランダにヒマワリの種(実)を置いておくと、必ず小鳥が食べに来る。冬は、常食にしている昆虫やその幼虫が取りにくいので、餌台のヒマワリが重要な栄養源になるからだろう。Hppc2872222日前に7~8センチの積雪があったので、ますます餌を取りにくくなった。鳥たちにとっては、さらに深刻な事態だ。群れを成して飛んできてさえずり、餌を催促するときもある。

Hppc287201 餌台にはいろいろな野鳥が食べにくる。12月28日は4種のガラ類がやってきた。ファインダーをのぞいていると、それぞれにキャラクターが感じられ、おもしろい。当日の印象を比較レポートする。Hppc287211

写真上から順にシジュウカラ(もっとも神経質で、餌台に滞在する時間が少ない。実の中身を確かめないで持っていく)、ヤマガラ(けっこう悠然としていて、強いゴジュウカラも一目置いている)、コガラ(ガラ類では小型に属するが、警戒心が強く賢い)、ゴジュウカラ(ガラ類ではもっとも大きく強く見える。ほかの鳥をどかしてじっくり重い実を物色する。餌箱の穴に長いくちばしを突っ込んで実を取る)

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

| | コメント (0)