« 写真展『厳寒のざわめき』 予告 八ヶ岳山麓No.172 | トップページ | 写真展『厳寒のざわめき』は終了しました »

2015/03/09

ハクモクレンの原始性に引かれる 横浜No.82

Hpp3050120 自宅付近のハクモクレンのつぼみが膨らんできた。私は、歪んだ砲弾のようなつぼみに興味がある。外観から被子植物の原始性が読みとれるからだ。私は、どんな分野でも原初的なものや現象に興味がある。ハクモクレンのつぼみは、まずデフォルメされた砲弾の形が原始的だ。形状には力動感があり、フォトジェニックな被写体の条件を備えている。


 花は葉が進化したものだ。ハクモクレンのつぼみを覆っている毛無垢じゃらのものは苞である。花芯の胚珠を寒さや外敵から守っている。その内側に白く見えるものは萼片だ。どちらも葉が花へ進化する過程の生成物だ。萼片の下に6枚の花弁がある。3枚ずつ二重に構成されている。
通常、花弁や雄しべ、雌しべも、その植物の葉と同じ配列(輪生、互生など)になる。モクレンの配列がらせん状なのは、原始性の特徴である(写真下左)。モクレンとその仲間は、配列以外に雌しべにも原始的な特徴がある。モクレンの胚珠(受精して種子になる部分)を保護している子房が、葉のような形状をしている。Hpp3230060これを心皮といい原始的な構造である。葉を二つに折りたたんだような構造なので、「二つ折れ心皮」と呼ばれる(写真下左は花芯部。中央の突出した部分が雌しべ群、その下に胚珠や心皮がある。雌しべの周りには雄しべ群がある)。このように、モクレンの花には葉の要素がたくさん残っている。この原始性が外観に反映しているのではないか。生命が誕生したり、活動を開始する春という季節も自然界では原始的な時期であろう。ということは、Hpp3230041ハクモクレンは春の象徴的な花といってよいと思う。


 古代人が身に着けていた勾玉(まがたま)という装身具がある。勾玉は動物の牙が祖形だと言われるが、一方、胎児の形を模して作られたという説もある。哺乳類から魚類、鳥類など胎児の形には共通性があり、生命の根源的形状だ。呪術が人間の思考や心理を支配していた時代には、胎児の形に注目してもおかしくない。Hpp3080095また、モクレンのつぼみの形状は胎児形であり、勾玉形
ではないか。その機能も勾玉に通じる要素があると思う。古代人たちは、つぼみにもまじない(呪い)を感じたのではないだろうか?(写真右 勾玉形が顕著なハクモクレンのつぼみ)

参照:『植物の過去を明かしたい 八ヶ岳山麓No.149』タラの芽から発想か!!? 八ケ岳山麓No.74』


『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

|

« 写真展『厳寒のざわめき』 予告 八ヶ岳山麓No.172 | トップページ | 写真展『厳寒のざわめき』は終了しました »

コメント

綾瀬のトン 様
日ごろは、おせわになっております。大学の写真部OB会を継続していらっしゃるのですね。何よりです。現在でもテーマを決めて撮影していらっしゃるのは立派ですね。現役時代の活動が偲ばれます。以前、拝見した作品もその一環だったのですね。一度、山で撮影をご一緒したいものです。季節が良くなってきました。お会いできるときを楽しみにしております。ご自愛ください。 H.T.

投稿: H.T. | 2015/03/25 18:25

「沈黙の森から」ネットギャラリー写真展のご案内状有難うございました。ハクモクレンの蕾を覆い尽くす毛を、今までじっくりと見たこともなく自然界の生命体の素晴らしさを感じました。葉の植生が「互生・輪生」と生物学的な説明で、写真を通じて勉強ができました。写真をこうした観点から追求すると、ますます奥行が開けます。茨城大写真部52年の付き合いで「伊豆半島に春が来た」を題材に撮影旅行をして今帰宅しました。が、今年も朝から一献いれて半島をフラフラと漂流しただけのダメなカメラマン集団でした。有難うございました。

投稿: 綾瀬のトンです。 | 2015/03/17 16:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 写真展『厳寒のざわめき』 予告 八ヶ岳山麓No.172 | トップページ | 写真展『厳寒のざわめき』は終了しました »