「黄金の足」
第46回 まちだ写好会 秋の写真展
秋の写真展のDMを制作するにあたり、文句なしにこの写真を選んだ。インパクトがあるというほどではないが、風景や花、スナップ写真に比べて、DMに大切なアイキャッチャーになると考えたからだ。写真展の要項は右のDMのポップアップを参照ください。
どんな写真も人が写っていることでモチーフがわかりやすくなる。撮影者だけでなく鑑賞者も人であるからだ。それにより、鑑賞者は感情移入して同じ人間として身に覚えのある疑似体験ができる。人物写真でもっとも注目を引くのは顔であり、その表情や人間関係から写真はわかりやすくなる。本DM写真の被写体は、新生児(あかちゃん)の足とそれをつかむ大人の手で構成されている。顔ではなく足と手であるが、十分、人を感じさせる。まず、新生児から人の成長を感じてもらえるのではないか。また一方、鑑賞者は自身の過去を連想するだろう。この作品は、われわれの過去と未来を想像させる要素がある。また、大人の手は親心を刺激するのではないか。
作品タイトルは未来を強調するのに役立つ。「黄金の足」とは、子どもの有望な将来を示唆している。世界的なアスリートを想像してもおかしくない。サッカーのキックや、陸上競技の脚力、競泳のドルフィンキックを連想させるのではないか。
さらに、この写真は質感描写が良い。ストロボ撮影ではあるが、そのぶんシャープなので、足の質感がよく出ている。質感描写は、私の主張する8大モチーフの一つで、しばしば表現意図を強調する。質感が「黄金の足」を支えているのだ。さて、未来や過去という時間のモチーフと、質感のモチーフを兼ね備えたこの作品を、私は評価したい。なによりも、人間共通の土壌に立った被写体選びがすばらしいと思った。
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