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2012/03/26

川霧と朝食 ドイツNo.115

ヴァッサーブルグの格別な朝Hpp6075482

 朝6時、起床して寝ぼけまなこで窓の外をのぞくと、イン川に霧が立ち込めている。ブルック門に通じる赤橋も霞んで見える(写真下)。すぐカメラを持って外へ飛び出した。川霧は町の中にも流れ込み、ヴァッサーブルグ自慢のパステルカラーの町並みがシャーベット・トーンに変わっている。まだ、通勤時間には早いので人はいない。Hpp6075486中世へタイムスリップした気分だ。昨夏、ヴァッサーブルグ滞在中に恵まれたチャンスだった。

 霧は絶好の被写体状況だ。夜景と同じように「じゃまもの」を隠し、情感を高める。一般的にカメラとレンズは、しばしば画面に入れたくない、また見せたくない被写体までも写してしまう。それらはモチーフの足を引っ張る「じゃまもの」になる。「写真(撮影)は引き算」といわれるのは、この「じゃまもの」をいかに隠し、目だなく写すかが大切だ言っているのである。Hpp6071682霧は、撮影者の工夫以前に「じゃまもの」を隠したり目だたなくしてくれる。霧が良い撮影条件になる要因の一つである。ヴァサーブルグでも、霧がじゃまものを目だたなくしてくれたので、中世が見えてきたのである。

 もうひとつ、霧には情緒を作る働きがある。霧や雨は多くの詩に歌われていることからも説明を要しないだろう。霧や雨が作る視界のあいまいさは人を懐古的にし、せつなくしたり、 やるせなくするのである。通常、私たちは、本能的に明るく明快な対象を求めるものだ。Hpp6071708霞んでぼやけて見える対象を前にすると、もっと明るくクリアーにして見たいという衝動が起きる。ぼやけた対象は、人にはっきり観察しようという動機づけになる。これは写真に写っても同じだ。ぼやけて情報量が減った被写体は写真を鑑賞する人をポジティブにする。すなわち写真に引き込むのである。霧やもや、雨などが被写体状況として望ましいゆえんである。

 朝飯前の撮影を終えてホテルへ戻り、食堂へ行った。ドイツの朝食は、毎日楽しみだ。香ばしいパンとコーヒー、スパイスのきいたソーセージと手作りのジャム、新鮮なヨーグルトなど、撮影で歩いた後だけにいちだんとおいしい。この日は格別な朝だった。Hpp6075515Hpp6095987_2

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コメント

i,S様
コメントありがとうございます。ドイツのささやかですが至福の時間でしたので書きました。今後とも、よろしくお願いいたします。i,s様の縦横無尽なご活躍をお祈りいたします。 H.T.

投稿: H.T. | 2012/03/31 09:28

H.T様
 こんにちは! 朝のしっとり感があり、その後の食事はなんと美味しいことか! いいですね!
 コメントいただきながら、ご返事できずすみません。
 スキル研鑽中?
                    I.S

投稿: i,s | 2012/03/29 15:44

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