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2012/02/24

森の中の葛藤 八ヶ岳山麓No.135

自然界の厳しさ…人類の過去にもあったことHpp2134930_3

 冬の森は閑散としている。そのため、“住人”のようすがよく見える。生活だけでなく育ちや素性までもわかるのだ。一般に自然環境はたいへん厳しい。冬は特にそうだ。ほとんどの動植物は生きるか死ぬかの瀬戸際で生活している。彼らは厳しい環境に耐えながら、ほかの種や仲間と闘っている。ときには、その勝敗までわかる。私の自然写真のテーマは「沈黙の森から…From the Silent Forest」だが、自然界の厳しさを伝えるのが主旨である。厳冬の森で見つけた自然界の厳しさと葛藤を紹介しよう。

Hpp2137800_2寒気と闘う知恵(写真左) 多くの植物は、氷点下の気温では生活できない。コートを着たり移動できない植物は、種子になったり、葉を落として冬を越す場合が多い。シダなど一部の植物は、冬になるとロゼット状に葉を伏せて寒さに耐えながら越冬する。大気の低温と風から身を守るためだ。そのようすは、人間の挙措のようにも見える。ロゼット状のシダを見ると、必死にふるまう人間のようだ。

Hpp2137866種間競争(写真右) 倒木を見つけた。ひと目、強風か雪の重さで倒れたのかと思った。近寄ってみると、つる植物に引き倒されたのだわかった。Hpp2248476_4胸高直径20センチぐらいの高木のそばに直径数センチのツル性樹木がかぶさっている。おそらく、高木はツル植物が成長するにつれて幹を締め付けられ、何かのきっかけで耐えられなくなったのだろう。今までにもツル植物に締め付けられている大木を何例も観察してきた。森林内ではよくあることだ(写真左参照)。ちなみに葛藤とは、葛(クズ)や藤(フジ)などのツル植物がもつれ合う意からきた言葉だ。

地中での攻防(写真下左) 山道ふさぐように倒れている樹木があった。道路にはみ出した部分は伐採されていたが、根もとから3メートルぐらいはそのままだった。近づいて観察すると、根が数個の岩を抱えている。Hpp2137936_3一般に、樹木の根は自身を支えるために土中へ深く伸び、水を吸収するために水平に広がる。この二方向に根を張って樹木は生きていける。伸びようとする根の周りに岩があると地中深く伸びにくい。それは、幹を支えきれず倒木の要因になる。目の前の樹木も深く根を張れずに倒れたのである。根は地中で岩と闘っているのである。人類もかつてはこのような葛藤を繰り返してきたことを忘れてはなるまい。耐寒や障害の克服(環境への適応)、種間・種内競争(対立と紛争)は、現在も続いていると言えないか。

霜柱のパワー(写真最上右) 地中の水分が毛細管現象で地表にしみ出して凍結するのが霜柱だ。そのとき、地表を覆う土や落葉、落枝などを押し上げる。そのパワーは強大で、大きな岩や倒木まで動かす。鉄道の線路や家の土台までも押し上げる力がある。先日、巨大な霜柱を発見した。高さ30センチ以上、15階建ての高層だ。一日でこれだけ高くなったわけではない。観察によると、霜柱は1日平均2~3センチ高くなり、15日以上続いたようだ。これだけの霜柱を観察したのは初めてだった。霜柱の上には倒木の根が乗っていた。この霜柱で持ち上がったのか、継続して観察していないので不詳だ。しかし、線路を動かすほどのパワーを霜柱はもっている。倒木を浮き上がらせても不思議ではない。いずれにしても厳寒期の森には、凍結の膨張力と重力との大きな対決がある。

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