燕温泉で2011年OB会
私がスキーを始めたのは、中学1年の冬で、場所は長野県の山田牧場だった。ゲレンデは牧場の斜面で、リフト替わりのロープを張っただけだ。用具は、ゴム長靴のスキー靴、単板の(無垢の木材を削った)スキー板、カンダハーのビンディングという、今から考えると粗末なものだが、当時の私にとっては最先端の道具だった。父は、自身が大病で苦労したせいだろうか、私に体力をつけさせようといろいろなスポーツをやらせてくれた。その一つがスキーだ。中学、高校と学校が主催するスキー学校以外にも、バスのスキーツアーに参加するチャンスも作ってくれた。
おかげで、大学のスキー部へ入ることができた。 今、もっとも心を許してつきあえるのは、スキー部の仲間である。これも、父のおかげだ。
10月15日~16日は、千葉大スキー部OB会の例会が新潟県妙高市の燕温泉で開催された。参加OB21名は、夕刻、燕温泉の針村屋(写真上右)に結集した。あいにくというか、絶好というか、15日は霧が立ち込め、燕温泉の雰囲気は秘境の秘湯という雰囲気だ。秘湯のムードを撮影しようと、タオルではなくカメラを持って露天風呂「黄金の湯」(写真最上)へ出かけた。湯煙と霧が漂い、まさに秘湯である。撮影していたら男湯のほうに人が入ってきたので撮影を控えた。なんとOB会のメンバー・K氏だった。安心して撮影を続けた。霧は秘湯にはおあつらえむきだった。(下の記念写真は上田頴人氏撮影)
私たちは、針村屋の元オーナー・植木毅氏にスキーの手ほどきを受け、鍛えられた。50年前の針村屋は、スキーの猛者が集まるメッカだったが、私たちにとってもベースキャンプだったのである。現在、針村屋は毅氏の実弟、植木明雄氏(写真右)が経営しているが、そのスピリットは昔と変わらない。
宴会は、明雄氏手作りの珍味・山葡萄液(写真上右)の乾杯から始まった。大部屋での二次会(写真左)まで6時間の懇親会だった。
翌朝6時、針村屋の窓から温泉を囲む山腹が見えた。「しめた」と思ってオリンパスXZ-1を首にかけて外へ出た。紅葉は真っ盛りだというのに、昨日はまったく見えなかった。温泉街の上まで登ると、神奈山にかかる雲が上がり、朝日が直射してきた。下部は目を射る紅葉、上部は雲が漂い魔境ともいえる妖しい気配だ(写真上右)。続いて、遊歩道を「惣滝の展望台」まで登った。惣滝(そうだき)は落差80メートルの大滝で、日本の滝百選に挙げられている。
惣滝の下にさらに2段の滝があるが、展望台からは見えない。天候は目まぐるしく変わるので、惣滝の表情も刻々と変わる。理想的な撮影条件だ。70カットほど撮影して終了、針村屋へ戻った。
霧と紅葉、秘湯と刎頚の友、充実した2日間だった。なお、現在、燕温泉スキー場は閉鎖されている。それに代わって、温泉はもちろん、紅葉、新緑など四季の自然を堪能できる絶好の山峡である。
参照リンク: 「秘湯とスキー、雪見酒」
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