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2011/07/29

あこがれの中世の家に泊まる ドイツNo.103

ホテル・エルク・ニュルンベルグHpp6116652_2

 ドイツが中世を大切にしているように、私も中世にあこがれている。ドイツを旅する楽しみのひとつは、中世の体験である。木組みの家に囲まれたマルクト広場でコーヒーやビールを楽しみ、教会の鐘の音を聴き、マルクトで買いものをしていると、ドイツ人の仲間に入れてもらったように気分になり、中世へタイムスリップしたような心地がする。なぜ、ドイツ中世にあこがれるのかと聞かれたら、いろいろな理由はあるが、説明が長くなるので「ウマが合う」と答えておこう。中世のシンボルといえば木組み(木骨組み)の家だろう。むき出しになった木組み構造は町並みに中世の雰囲気を作る。Hpp6149953現在は、壁をモルタルで塗り木組みの構造をおおいかくしている家もたくさんあるが、構造は木組みである場合が多い。ニュルンベルクでは木組みのホテル(ガストホフ)に泊まることができた。(写真左は、ホテルのレストランに飾ってあるエルクのはく製)

 ニュルンベルク中央駅からタクシーに乗り、「ホテル・エルク・ニュルンベルグ」(写真上右)の前で降りたときは、「ヤッター」という心境だった。Hpp6126586 木組みの家が目の前に建っていたからだ。「ホテル・エルク」は、市壁で囲まれた旧市街の中にあり、部屋代が安いということだけで決めた。だから、ホテル・エルクが木組みの家だとわかったときはうれしかった。ホームページには1342年創業とある。ロケーションは絶好だった。徒歩数分でニュルンベルグのシンボル、カイザーブルグ(城郭)や中央市場(マルクト広場)へ行ける。5分ぐらいのところに聖ゼバルドゥス教会や旧市庁舎がある(写真左)。

 ホテル・エルクを外から眺めると、梁がしなったように曲がり、いかにも年代物の家に見える。自然の材木をそのまま使ったからではないか。中世の家の特長である二つのアーチもわかる。木組みの家には、しばしば梁に建造年が彫り込まれているが、ホテル・エルクにはそれが見あたらない。棟続きのほかの家の年代を調べたら16世紀ごろの建造なので、ほぼ同年代の建築と見てまちがいないだろう。Hpp6106509_2Hpp6106193_2二つのアーチのうちの小さいほうは、人の出入り口だったが窓に改造してある。もう一つの大きなアーチは、荷車や馬車、家畜などの出入り口だった。中世では人と家畜が同じ屋根の下で暮らしていたという。私たちは4階の建ての3階に泊まった。部屋の雰囲気は古来の素朴なものだ(写真上左)。しかし、トイレやシャワーは現代のスタイルだ(写真上右)Hpp6126723Hpp6136681_2ワイヤレスのLANも使える。古い建築を文化遺産として残しながら、それに現代の機能をアレンジした人々の精神に敬服した。(写真上左は朝食の一例、同右はビュッフェ)

 私は木組みの構造には興味がある。外観の構造はわかるが、天井や床をどうしているのか知りたかったので撮影させてもらった。ホテル・エルクも今まで見てきたものと同じように、角材をたくさん並べて強度を保つ構造だ。床を撮影していたら、フロントの女性が地下室の入口を開けてくれた(写真下左)。中世の家には地下室があり、ワインやチーズ、塩漬け肉などを貯蔵すると文献に書かれている。それを目の当たりにして、あらためて中世の家に泊まったことを実感した。参考までに宿泊代を紹介する。ツイン1泊朝食付き84ユーロ(約9600円)だ。もちろん2人分の価格だ。(写真下右は柱と梁、天井の構造)Hpp6149964_2Hpp6149956

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