獅子が呼ぶ幸運 横浜No.52
今年の春節は2月3日から始まった。当日は、平日にもかかわらずたくさんの観光客が中華街に押し寄せた。春節の雰囲気を楽しみにきた人々である。いつものように獅子舞いを撮影しようとしたが、どの獅子の周囲にもカメラマンが殺到し接近できない。最近は、ケイタイ・カメラマンも群がっている。やっとカメラポジションを決めて撮影を始めるとファインダー視野に携帯電話がたくさん入ってくる。デジカメやケイタイは、腕を伸ばしてカメラを構えられる。被写体に接近するにはあきらかに有利だ。私もオリンパスペンE-P1で対抗したがかなわない。 (写真右上は採青に食いつく獅子、写真下左は関帝廟へ参拝する観光客)
獅子舞いはそれだけ人気があるということだろう。エキゾチックなだけでなく、きびきびした演技、太鼓と銅鑼の中華サウンド、爆竹の香りなどは、不況?で沈んだ人心を鼓舞する要素があるのかもしれない。その日は、獅子舞いで珍しい光景を見た。獅子舞いに採青というお祝儀を包むのは知っている。
これを軒先に吊るし、獅子がそれをくわえるのが一つの見せ場である。ほかに、飲み物などを寄進する場面もしばしば見てきた。獅子が一升瓶やビールのカートンを呑み込んだように演技するのである。ところが3日は、獅子舞が去ったあとに「大吉」という文字が地面に残されているのを見つけた(写真上)。獅子がしばらく身を伏せている間に描いたのである。今までに見たことがない光景だった(写真下右)。
「大吉」を描いた材料はスティック状の中華菓子の一種で「众望葱油咸味小麻花」というものだ。獅子舞いを演じたみやげ店の店主は、このスティックを持って帰ると縁起が良いと説明していたので、私もいただいてきた(写真上左)。 一度地面に置かれたものは食べられないので、別に一袋買って帰った(写真下右)。後で気がついたのだが、寄進のために飾った祭壇にあらかじめ「众望葱油咸味小麻花」が置かれていた(写真左 皿に盛られたもの)。獅子はそれを食べて(使って) 「大吉」を描いたのだった。
「众望葱油咸味小麻花」の原材料は、小麦粉、パーム油、エシャロット、食塩などである。試食してみたが味に不満はない。それにつけても、手の込んだ演技だ。この「大吉」を読者におすそ分けしよう。
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