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2010/05/24

近距離撮影が写真をいきいきさせる

野川公園でマクロ撮影を楽しむ…コンパクトカメラシリーズ22

Hpp5211871

 写真のおもしろさはいろいろある。撮影に出かける前の構想を練る期待感、撮影現場で被写体とつき合う臨機応変、現像が上がってくるときのドキドキ・ワクワク、モノクロ写真なら暗室作業の微調整、近年はパソコンで思いどおりに仕上げる達成感が加わった。しかし、何と言ってもおもしろさの頂点は撮影ではないか。Hpp5211863特にデジタルカメラになってから、撮影は格段におもしろくなった。“現像仕上がり”のドキドキ・ワクワクがいっしょになったからだ。また、思いどおりに仕上げるために入念にカメラを操作し、撮影テクニックを駆使するおもしろさは、創造性とメカニズムが一体化して、私には理想的な撮影環境だ。仕上がりを点検できることで、被写体とのつき合いは一段と深くなった。これがますます撮影をおもしろくしている。

 最近は、コンパクトカメラで自然写真を撮る機会が多くなってきた。なぜかというと、接近能力が高いからだ。Hpp5211979すなわち、コンパクトカメラはマクロ撮影に向いている。最短撮影距離がレンズ先端から2~3センチ、撮像素子(CCDやCMOS)面からは数センチである(通常、最短撮影距離はフィルムや撮像素子面を基準にする)。一眼レフでは簡単に得られる撮影距離ではない。「被写体に近づくほど迫真力のある写真が撮れる」というのが私の持論だ。なぜか、これは人間のつき合いと同じだ。見知らぬ人とは一定の距離を保つ。親密になればなるほど距離は縮まる。Hpp5211989究極のつき合いはスキンシップであろう。被写体に近づけることは写真にとっても大きな利点である。自然が相手なら、より親密に被写体とつき合える。レンズ前2~3センチは自然とのスキンシップと言える距離だ。被写体とカメラとの距離は絶対的な距離である。カメラの種類や撮像素子(フィルム)のサイズとは無関係だ。距離にはそういうセオリーがある。レンズの画角は、また別の問題なのでここでは触れない。

 専門学校の教壇で、私は、近づくほど優れた写真が撮れると強調してきた。これは主にスナップ撮影についてだった。近づけば、まず撮影者は被写体情報をたくさん得られる。微妙な表情や動き、質感、香り、気配などを感じることができる。撮影では、できるだけ多くの被写体情報が必要なのだ。Hpp5211937近づくほど被写体に肉薄できる。次にパースペクティブ(遠近感、または奥行き感)が変わる。パースペクティブは近づくほど強調され、被写体のそばにいるような臨場感につながる。これは、カメラも人間の目も同じだ。撮影距離または観察距離と、パースペクティブとの関係を、いま正確に書く用意はないが、ほぼ距離の2乗に反比例するといってよいだろう。すなわち、距離が1/2になればパースペクティブは4倍になるということだ。例えば、撮影距離が10センチと5センチでは大違いである。実際の撮影では、被写体状況と撮影テクニックで左右されるものの、自然とつき合うマクロ撮影では顕著に現れる。

 コンパクトカメラでは、背景のボケ方が足りないという不満をしばしば聞く。しかし10センチ以下の撮影距離になると、ほどよくボケて周囲の環境がわかり、今、先端の自然写真になる。Hpp5211928写真画面でもっとも大切な部分はピントが合っているところだ。すなわち主要被写体がしっかり写っていなければならない。コンパクトカメラのマクロ撮影では、ピントが合った部分のシャープさは一眼レフ以上だ。たとえボケがきれいでも、主要被写体の対する配慮が欠けては写真として価値が低いと言えよう。背景のボケ方よりは、シャープさとパースペクティブのほうが強い写真になるだろう。

 5月21日はシャトロー会のメンバーと調布の都立野川公園へ野草を撮影に出かけた。そこでコンパクトカメラのマクロ撮影を堪能した。昆虫を撮影するときには、機動力のありがたさも実感した。なお、写真はすべてオリンパスSP-350で撮影した。

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