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2010/04/25

テンの顛末 八ヶ岳山麓No.98

4月24日ののようすHpap4240862_2

 最低気温は-5度Cだった。1~2センチの積雪があり、雪景色に変わった。標高1300メートル以上の八ヶ岳山麓では驚くほどのことではない。かつては連休でも雪が降った。早朝、犬と散歩をしようと玄関を出ると、薄雪が積もった階段の上に大きな足跡がある。肉球の大きさからテンの足跡だと断定した(写真上)。一度階段を上り、ドアの前まで来てまた降りて行った。右側通行で往復したのである(写真下 中央は私の足跡)。 

Hpp4240842_2 階段の下段では上るときも下りるときも、足跡は2段跳びである。テンはいろいろな歩き方をするようだが、もっとも通常の歩き方は「尺取り虫型」である。階段を上るときもそのようだ。後足でしっかり蹴って前進する。後足の大きな爪痕がしっかりと残されている。あらためて爪の力強さに驚いた。下りは爪痕がない。動物図鑑によると、テンの肉球は前足より後足のほうが大きく爪も長い。これが木登りと“木降り”を得意にしているのだろう。

Hpp4240874_2 以前、釣りをしていたら、上流からテンがこちらに向かって歩いて来た。いいテンポの「尺取り虫歩き」である。私の存在は眼中にないようだ。テンは獰猛だと聞いていたので、腰に差したナイフをつかんで身構えていた。テンは、私から数メートル離れた木に5~6メートル登り、すぐ逆さになって降りてきた。テンにはよくある行動だ。いよいよこちらに向かってくるかと思ったら、目の前を通過して下流へ向かった。私はホッとした。身の危険を感じる突然の出来事だったので、カメラを構えるのを忘れてしまった。写真家として、まだ修行が足りない。 (写真右上は雪面の足跡)

Hpp4240921_2 山小屋の周辺を調べてみると、歩いたルートがわかった。薄雪のおかげだ。山小屋前の車道から入ってきてコンポストに上がったようだ。コンポストは、しばしば野生動物のターゲットになっている。だれの仕業かわからないが、コンポストはしばしば蓋が開けられ、中身がかき回されている。この日、テンは蓋が開かなくて地団太踏んだのではないか。ダンスを踊ったように足跡が乱れていた(写真上)。そこから玄関前に向かったようだ。その後、山小屋の裏に回って帰った?Hpp4240890_3 林床の薄雪に残された足跡なので、何匹のテンがいて、ほかにキツネやタヌキがいたのかなど、詳細は私の探索力ではわからない。しかし、氷点下の森の中で動物たちが活動していることはわかった。 (写真右はハーブの枯れ枝に積もった雪)

【補足】 4月22日の朝日新聞朝刊『天声人語』に興味ある記事が載っていた。参考にしたい部分の要旨は、「テンは林業の害になるウサギの天敵(益獣)として佐渡島に導入された。トキを殺すと害獣呼ばわりされる。Hp人間のつごうで野生動物は益獣にも害獣にもなる」「人と動物、人と自然という対立軸を捨て、私たち人間は『ジグソーパズル地球』の遊び手ではなく、大きめの“一片”とわきまえたい。おごらない共生の視点から、人がこの星に招いた災いの出口が見えてくる」。すなわち、野生動物と人間は同格だといってよいだろう。

 私は、トキが殺されたニュースで、監視カメラの映像を見た。動物の大きさと色、動きからすぐテンだとわかった。そして、襲われたのは管理の失策だと思った。テンの存在と行動を知っていればこの事件は防げたのではないか。テンの行動をときどき観察し、シカに畑や庭を荒らされている自身の経験から、野生動物の知恵と必死の行動を知っている。当事者は野生動物に対する認識が甘いと感じた。それに莫大な予算があるのだから…。私たちは、今、シカの害を防ぐ対策を練っているが、難物である。

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