ラードは伝統的な調味料 ドイツNo.85
パンといっしょに出てきたものは、見たことがないものだった(写真右)。白色半透明で小さなカップに入っている。芯のないローソクのように見える。あきらかにバターではない。ウエイトレスに聞いてみると「シュバイネシュマルツ」だという。もちろん、初めて聞く言葉だ。家内が勘でラードではないかという。持っていた電子辞書(和独)で「ラード」を調べると「Schweineschmalz」とある。ウエイトレスに電子辞書の液晶画面を見せると、戸惑いの表情が笑顔に変わった。彼女は意思が伝わったことがうれしかったのか、電子辞書に感動したのか…、私たちもうれしかった。パンに付いて出てきたものはブタの油、すなわちラードであることがわかった。ラードをバターのようにパンに付けて食べるのは初めてだ。
ずいぶん前に、惣菜屋さんがとんかつを揚げるのにラードを使っていたことを思い出した。現在も同じだろうか。私は脂肪を控えているのでためらったが、食べてみるとおいしい。バターとは違った趣がある。今年の2月、ゲンゲンバッハのレストランで夕食をとったときの出来事だ。(写真上左はレストランPfeffermuhleの窓辺)
坂井洲二著「年貢を納めていた人々」(法政大学出版局刊 教養選書)には、1899年当時の昼食の献立例が記されている。チュービンゲンに近いロッテンブルグの農家の場合だ。それによると、「月曜日:ラードで味付けした団子またはヌードルにいんげん豆 火曜日:ラードで味付けしたヌードルにかぶ 水曜日:ラードで味付けしたヌードルにえんどう 木曜日:団子にザウエルクラウト。もしあればベーコン 金曜日:ラードでいためた団子にサラダ。あるいはゆでたヌードルにコーヒー 土曜日:シュペッツレに細切りのじゃがいも」とある。この献立から、かつてのドイツではラードが調味料として主要な位置にあったことがわかる。

夕食をとったレストランPfeffermuhle(英語ではPeppermill 日本語に訳すと「胡椒屋」だろうか)は、創業が1476年とホームページに書かれている。現在は、レストラン(写真上右)とホテルを営業している(ガストホフ)。ドイツにはよくある老舗だ。ラードが食卓を飾るのはあたりまえなのかもしれない。「年貢を納めていた人々」は以前読んだのだがラードのことは記憶になかった。最近、別件を調べるために読み返していて気づいた。あらためて、Pfeffermuhleがゲンゲンバッハの老舗であることを知ったのである。
今は、カーニバルの飾りが施された部屋(写真上2点)でとった夕食が懐かしく思い出される。
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コメント
豊田先生
私もゲンゲンバッハに行った時にこの写真のレストランに行きました。ラードですね。美味しかったけれど食べ過ぎて、お腹を壊しました。日本で豆腐や納豆、焼き魚の世界から、ラードでは胃腸もびっくりですよね。自重しなければと思いました。
投稿: keicoco | 2009/06/05 12:15