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2008/09/04

キツネに化かされてみたい 八ケ岳山麓No.60

エフデとローソクHpssp9010042

 森の野生植物には、「キツネ」という名まえがついたものがいくつかある。野草ではキツネアザミ、キツネノカミソリ、キツネノボタン、キツネノマゴ、樹木ではキツネヤナギ、キノコではキツネタケ、キツネノエフデ、キツネノローソクなどだ。なぜ、森の植物にキツネの名が出てくるのかわからないが、なんとなく納得はできる。キツネは、我々にとって身近な野生動物でありながら、神秘性と妖しさを漂わせている。すなわちロマンがあるのだ。「キツネ……」と名がつくと身近な存在に感じられ、想像力が広がっていく。なにより、その植物をキツネと共有しているような気持ちになり、自分も森の一員になれた気がする。

 終戦直後、田舎に疎開していたころ、「キツネに化かされる」という言葉を、たびたび聞いた。子ども心に、キツネは恐い動物だという印象が脳裏に焼きついた。昔は、里山に現れて、人間との葛藤があったのだろう。しかし最近では、森のなかで、もっとも目につく野生動物であるだけでなく、健全な森の住人という印象が強い。人間に悪さをするどころか、私は親近感を覚える。植物に名まえが付いたころのキツネは、どうだったのだろうか。一度、キツネに化かされてみたいものだ。

Hpssp9010069 最近、キツネの名を冠するキノコを2種撮影した。キツネノエフデ(写真上右)は、今までもしばしば見てきたが、いつも倒れて傷んだものばかりだった。91日は、ほぼ完全なものを見つけたので、じっくり撮影した。すぐそばにキツネノローソク(写真上左)があったが、これは倒れかかっていた。高さは、エフデが約5センチ、ローソクは約7センチだ。どちらもクキは中空で、先端部(カサ)はベトベトして悪臭を放つ。これが昆虫を引き寄せるようだ。撮影中にも数回昆虫がキノコにたかっていた。ファインダーをのぞきながら、2種のキノコに命名の妙を感じた。

Hpssp9011108 20年ぐらい前、シロギツネノサカズキというキノコを撮影したことがある(写真右)。時期は5月で、樹木に葉が出そろう前の明るい森の中だった。見つけたときは名まえを知らなかったが、珍しいので時間をかけて撮影した。図鑑でシロギツネノサカズキという名まえを知ったとき、あらためて感激した。シロギツネが酒を酌み交わす姿を十分想像できたからだ。その後、小さいものはときどき見かけるが、杯にもなりそうな大きなものは見たことがない。当時は、キツネに化かされたのかもしれない。なお、キツネとタヌキについては、「狐狸学入門 キツネとタヌキはなぜ人を化かす?」(今泉忠明 著 講談社ブル-バックス)がおもしろい。

【撮影データ】キツネノエフデ オリンパスE-410 ズイコーデジタルED50ミリF2マクロ 絞りF11 1/5秒 ISO200 WB晴天 キツネノローソク オリンパスE-410 ズイコーデジタルED50ミリF2マクロ 絞りF13 1/8秒 ISO200 WB晴天 シロギツネノサカズキ ニコンFE2 マイクロニッコール55ミリF2.8 絞りF11 1/125秒 フジクローム100D

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