春節のにぎわいと路地の魅惑 横浜No19
大仏次郎の小説「霧笛」は、開港当時の横浜居留地が舞台なので、私のテーマである「横浜がみえる時間」の参考になる。「霧笛」(六興出版)の解題(あとがき)によると、大仏次郎は中華街で起きた事件を素材にして小説を書く気になったいう。それ以来、たびたび夜の横浜へ散策に出かけたという。小説を書くには取材が欠かせない。中華街にも、たびたび足を運んだことであろう。私は「霧笛」を読んだとき、まずイメージに浮かんだのは中華街だった。それも、夜霧が漂う怪しい暗黒街のような雰囲気だったのである。それを象徴する場面が物語の最後に描かれている。横浜には霧が似合うと思い、フォギー効果(霧がかかったように写る)のフィルターを使ってたくさんの写真を撮った。
今年の春節(旧正月)は2月7日だったが、つごうで行けなかった。8日と9日に出かけて撮影しながら異国情緒を楽しんだ。特に、8日は祝賀遊行(パレード)があり、中国の民俗にふれることができた。爆竹の破裂音と火薬のにおいがたまらなかった。街全域が正月気分でにぎわっていたが、私には路地がおもしろかった。表通りと違い、町並みが古めかしく庶民的である。「霧笛」の雰囲気が少しは感じられるのだ。不可解で、ちょっと妖しい中華街を撮影してみた。
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