優しいトロリーバス ドイツNo.48
ザルツブルグ市内の主要交通機関はトロリーバスである(写真左)。日本の東京では1950~60年代にトロリーバスが走っていた。それに乗って、上野から今井橋(江戸川区)までハゼ釣りに行ったものだ。都内の交通状況が変わり1968年、この路線は廃止になった。そのような思い出があるので、トロリーバスは時代遅れの古い乗り物という概念をもっていた。
ところがザルツブルグの市街地にはトロリーバスが大きな顔をして走っている。ザルツブルグも他の西欧諸国と同じように一般配電のための電線と電柱はない。しかし、トロリーバスの架線が空をにぎわせている(写真右)。バスは町の中を縦横に走っているので、架線も目だつ。これは景観に好ましいものではない。しかし、トロリーバスは排気ガスを出さない。町の空気を清浄に保つのに適している。市民に優しい交通機関といっていいだろう。化石燃料を使った交通機関と比較して、エネルギーの消費量でどちらが有利なのか、私にははわからない。
ザルツブルグのトロリーバスは犬にも優しい。車内に犬の占有スペースが設けられているからだ。盲導犬だけなのか、一般の犬にも適用できるのか不明だ。犬をつなぐ金具だけでなく、飼い主がそばで寄りかかる衝立もある(写真左)。ドイツをはじめとする西欧では犬の市民権は大きい。犬といっしょに入れる公共施設やレストランはたくさんある。ザルツブルグのトロリ-バスもしかりだ。
ついでに優先席(priority seat)のピクトグラフを紹介する(写真右)。トロリーバスに乗ってみて、ザルツブルグは環境と人々と犬に優しい町だと感じた。優しさは我々にとってもっとも大切な感情であろう。どうしたら優しさを育むことができるのか、知恵を出したいものである。日本が抱えている政治や経済、社会、教育などの問題を解決するうえで、もっとも大切なことは優しさを優先することではないか。私は、『美しい国』よりは『優しい国』を提唱したい。
ザルツブルグはオーストリーの町であるが、住民はゲルマン系でドイツ語を話すので、ドイツのカテゴリーで掲載する。
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