横断歩道での譲歩 ドイツNo.38
ドイツでは、信号のない横断歩道を渡ろうとして路肩で待っていると、ほとんどの車両は止まってくれる。横断歩道がなくても止まって、運転席から渡れと合図されるときがしばしばだ。実は、これは日本の交通法規どおりの運転ルールなのだ。(写真右上はランズベルグ Hinterer Angerの横断歩道 12月15日 10:13)
日本で免許証の書き換えのときにもらう「交通の教則」には、「歩行者が横断しているときなど」の項に次のように書かれている。「横断歩道や自転車横断帯に近づいたときは、横断する人や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければなりません。また、歩行者や自転車が横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前(停止線があるときは、その手前)で一時停止をして歩行者や自転車に道をゆずらなければなりません。」 また、その前の条項に「横断歩道のない交差点やその近くを歩行者が横断しているときは、その通行を妨げてはいけません」とある。教則本によると、横断歩道であろうとなかろうと、横断しようとしている人や自転車を見つけたら車は止まらねばならない。これは運転者側の心得である。だからといって、歩行者はいつでもどこでも横断してよいというわけではないだろう。できるだけ信号のある横断歩道や歩道橋を使うのは歩行者のマナーだ。運転者と歩行者は、交通が円滑になるよう互いに譲り合って協力しなければならない。
日本では最近、少し改善されたものの、運転者が譲ることは少ない。横断歩道で手を上げて意思表示をしても止まらない車がたくさんある。お年寄りや子ども、重い荷物を持っている人々には危険できつい社会だ。ケイタイを使いながら運転したり、車線変更の合図を出さなかったり、以前より低下した交通意識もある。
ドイツで交通ルールが守られ、交通マナーが良いのはなぜだろうか。どこかでそれらを身につけるチャンスがあるのだろうか。もちろん、日本と比較し能力や人格に差があるはずはない。私たちは、そのシステムをドイツから学ばなければならない。運転免許を取得するときの教習だけでは、明らかにものたりない。(写真左上はノルドリンゲン Drehergasseの横断歩道 5月28日 18:13)
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