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2007/03/14

秘湯とスキー、雪見酒

Hpp3104847_2燕温泉・針村屋でOB会

 私は、大学でスキー部に所属していた。当時は年間30日ぐらいは滑っていただろうか。合宿のほかに大学のスキースクールの指導や山スキーにも出かけた。よく通っていたのが妙高高原だ。妙高温泉の香風館と燕温泉の針村屋が常宿だった。3月10日、11日はスキー部OB会恒例の懇親会が燕温泉であった。会の趣旨は「燕温泉スキーと雪見酒を楽しむ会」である。雪見酒に引かれて、私も参加した。今シーズンは燕温泉スキー場のリフトが休業なので、赤倉スキー場で少し滑ってから燕に上がった。

Hpp3104841_1 燕温泉は、妙高山と神奈山にはさまれた標高1100メートルの谷間にある。秘湯といってもいいだろう。弘法大師の開湯と言われるが、温泉街がかたちづくられたのは明治28年ごろだ。針村屋のパンフレットによると、現在の泉質は「白い湯の花の浮く含土石膏泉(45度C)」と書かれている。リウマチなどに効能があるという。私たちが投宿していたころは、かき玉汁のように湯の花が浮くぬるめの温泉だった。しかし、これに浸かると翌日の朝までぽかぽかしていたのを思い出す。おそらく、湯治場としては秀逸だったろう。現在の泉質は昔とは違うが、環境庁から国民保養温泉地の指定を受けている。

Hpp3114888_1Hpp3114886_1 なぜ燕温泉と名づけられたのか。地名の由来に興味がある。少し調べたがわからない。そこで、いろいろと推理してみた。温泉は標高1100メートルにあるので、イワツバメがたくさん飛翔していたことが考えられる。イワツバメがいたとすれば多くの場所で営巣していたことだろう。私の撮影地、標高1000メートル以上の八ヶ岳山麓でも民家の軒下にたくさんイワツバメの巣ができている。地名の由来にはなるかもしれない。「燕」という字を漢和辞典で調べてみた。燕(ツバメ)は、よく子どもを育てるので安産や縁結びのシンボルであるという。また、「やすんずる(ゆったりと落ち着くさま)」とか、「うちとける」ようすを意味する。「くつろぎ落ち着き、酒食を楽しむ」という意味もある。「燕居」はひまでくつろいでいること、「燕室」は休息のための部屋、「燕息」はくつろいで休むこと、「燕服」はふだん着を意味する。また意外なことに、燕(えん)は宴(えん)と同じ意味である。「宴」に、うたげ、酒盛り、楽しむ、やすんずるなどの意味があることは知っている。「燕」は温泉にふさわしい名まえであることがわかる。燕温泉には、温泉に浸かって、格別にくつろげる環境があったのではないか。それは今も同じだ。

Hpp3104850_1Hpp3104856_1 さて、私はスキーより雪見酒のほうに関心があるので、針村屋に到着すると、さっそく冷酒にツララを入れて飲み始めた(写真上)。ツララは屋根から垂れ下がったもの(写真上)を、先輩が窓越しに取ってくれた。“ツララ酒”には雪国ならではの趣向がある。宴会には、山の幸、海の幸が食卓に乗り切れないほど並んだ。珍味は日本海の深海魚カンカイ(氷Hpp3104865_1 魚)の干物とカタクリの花だ。カンカイは初めて、カタクリは30年ぶりに食べるのでカメラに収めた(写真)。後輩が佐渡島からカニ(写真)を、オーナーの植木明雄さんからは「浦霞」を差し入れしてくださったので、宴会はいっそう盛り上がった。現在の私にとって、スキー部OB会というのは心の支えの一つであり、40年以上にわたって築き上げてきた宝物である。顧問の小林先生はじめ、多くの先輩、後輩のおかげである。

 翌日は、朝から雪だった。会員のほとんどは上級者なので、新雪が滑れると喜んでいる。雪見酒のために来た私は、気が乗らない。しかし、メンバーに付き合って赤倉の中級コースまで上った。新雪に薄日が差す絶好のコンディションになった。これはスキーの醍醐味である。しかし、足がいうことを利かない、というより足が経年変化しているので、すぐ疲れる。写真でいえば、被写体は最高だが、カメラが故障したようなものだ。しかし、独りではいけないコースへ行けたので、不満はなかった。今は、足腰が痛い。

燕温泉・針村屋 http://stay.mapoo.or.jp/0255-82-3121/s-4.html ☎0255-82-3121 JR信越線関山駅からバスで20分

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