家族ぐるみ、市民ぐるみ ドイツNo.32
ドイツは、かつて神聖ローマ帝国としてキリスト教の中心であった。ルターらによって始まったプロテスタント(新教)がカトリック(旧教)と和議に成功したのもドイツのアウグスブルグである。以後、ドイツでは諸侯・諸都市(現在の州に匹敵する)はカトリック、プロテスタント、どちらでも自由に選べるようになった。現在では南の州はカトリックが多く、北の州はプロテスタントが多いという。クリスマス(ドイツ語ではバイナハテン Weihnachten)は、キリスト教の一大行事である。12月25日のクリスマス前の4週間はアドベント(待降節)と言われ、教会や市内、家庭でいろいろな催しがある。ドイツ人にとって大きな冬の楽しみである。しかし、決してばか騒ぎするわけではない。「ドイツ・クリスマスの旅」(文・写真:谷中 央/長橋由里 東京書籍刊)にはアドベントを過ごすドイツ人の心境をゲミュートリッヒカイト(gemutlichkeit)と表現し、日本語には訳しにくい言葉だと書かれている。ドイツ語辞典には「居心地のよさ」「くつろぎ」「安らか」などの訳がある。私が体験した街の雰囲気からは「安らか」が近いが、私は「心静か」と訳したい気持ちだ。特に小さな町のアドベントにはそのような雰囲気があると感じた。大都市ミュンヘンのアドベントのようすを写真でレポートしよう。 上の写真は、ミュンヘン・リングマルクトに現れたサンタクロース。
ペーター教会の塔から俯瞰した市庁舎前の広場(マリエン・プラッツ)。たくさんの露店が並んでいる
リングマルクトのクリッペ(キリストの降誕劇をイメージ した飾り)
12月16日(土)の午前、ヴィクトリアン・マルクトのカフェはお客でいっぱいになった。
マルクトの人気ドリンクは
グリューワインだ。赤ワインに香料を加えて温めたもの。マルクトはこの香りで満たされる
12月17日(日)、ミヒャエル教会へ入ると堂内は香の煙と薫りがあふれていた。10時30分、ミサはドイツ国歌(ハイドン作曲「皇帝」〈弦楽四重奏曲No.77〉)で始まった。53分間見学し、終了してから撮影したのがこの写真だ。ドイツのクリスマス体験でもっとも感動的だった。
『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.
| 固定リンク | 0
この記事へのコメントは終了しました。
コメント