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2006/07/22

形がモチーフになる

オリンパス・ズイコークラブ長野支部の課題

Hp_5  モチーフとは、被写体を前にして、あるいはファインダーをのぞきながらシ ャッターをきるときの気持ちのことだ。シャッターをきるには、何か動機やきっかけがあるはずだ。なんとなくとか、漠然とシャッターボタンを押すのは表現とは言えないし、作品にもならない。撮影では、常にモチーフが必要だ。モチーフは、テーマやイメージと並んで写真の表現意図の一つである。被写体を前にしてシャッターをきる直前の表現意図がモチーフだ。

 私がコーチを務めるオリンパス・ズイコークラブ長野支部に課したモチーフ(課題)は『形』だ。写真はビジュアルアートなので被写体の形を表現するのは得意である。「形がおもしろい」とか、「形が変わっている」「形がユニークだ」という被写体は十分写真になる。また、撮影テクニックで被写体から形を引き出すこともできる。すなわち、形はモチーフになるということだ。形を意識してシャッターをきろうというのが長野支部の課題だ。

 スポーツ選手ではフォームが重要だ。フォーム(形)から入っていくトレーニングがあるぐらいだ。スピードを高める形、正確さを求める形、攻める形、守る形などさまざまな形がある。舞踊も同じだろう。工芸品には伝統の形があるし、デザインや美術、ファッションは最先端の形がある。自然界では、進化した形がある。生物は厳しい環境に適応するため、長い歳月をかけて形づくられている。動物でも、花でも現在の形はむだのない洗練されたものになっHp_6 ている。敵を威嚇する形、昆虫を呼び寄せる形などがある。風化や浸食でできた形もある。長い過去を物語る形だ。自然の被写体は意味のある形をしている。どんな分野の被写体や写真でも形はモチーフになると考えてよい。

 前述のように、撮影では被写体の中に形を発見するだけでなく、撮影テクニックで形を引き出すこともできる。シルエットは、ライティングと露出調節でディテールを省略し、被写体の形だけを見せるテクニックだ。また、カメラポジションやアングル、シャッターチャンスで被写体の典型的な形を引き出すことができる。モチーフに形を選んだら、作品の主役は形が目だつように撮る心がけが必要だ。

【写真解説】 長野支部の事務局、諸田剛氏の作品を例に挙げよう。写真上右〕 『古木の春』 桜や桃、梅などの花を撮るときは幹や枝にも注目するのは定石だ。幹の形や太さ、枝ぶりは過去の生きざまを物語り花を引き立てる。大蛇のようにうねる古木の幹の形に、花を咲かせる技を読みとるか、苦労を読みとるか、春の喜びを読みとるか…。〔写真上左〕  『待ちかねた春』 は、子どもの気持ちを代弁したタイトルだろうか。円柱型の滑り台を降りたら春があったというモチーフだろう。普通の滑り台では平凡だが、この滑り台と形は作品になる。

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