自転車でどこへでも行ける ドイツNo.11
初めてドイツに行ったとき、ブレーメンの自転車専用車線で撮影をしていてひんしゅくをかった。自転車専用車線は歩道と車道の間にある(写真左 バンベルク市内、写真右下 シュツットガルト市内)。白線で仕切られているだけで段差がないところもあるので、撮影に夢中になっていると、うっかり歩道からはみ出てしまうのだ。そこでは自転車最優先なので、歩行者の私などおかまいなしだ。衝突も辞さない勢いでベルを鳴らし続け、大声で警告を発しながら通り過ぎる。この恐怖を何回か体験した。初めてドイツの自転車事情を知った。交差点や横断歩道には自転車用の信号がある(写真上 バンベルクのランゲ通り)。 自転車の市民権は日本では考えられないほど大きい。
ドイツでは、駅の構内やプラットホー ムへ自転車を乗り入れることができる。車内へ持ち込んで降車駅まで運搬もできる(写真左)。ローカル線では、無人駅から自転車といっしょに乗り込み、1駅区間だけ乗車し次の駅で降りてまた自転車をこいでいく人を見かける。急行列車に乗ると、ツール・ド・フランスに出場しそうなファッションで乗り込んでくるカップルに出会う。長距離のサイクリングツアーを楽しむらしい。メーアスブルグでは、サイクリングを楽しむ中高年グループに出会った(写真右下)。
シュツットガルトは、バーデン・ビュルテンベルク州の州都である。人口は56万人、メルセデス・ベンツ博物館やポルシェ博物館などがあることからわかるように、ドイツ自動車業界の中心地だ。中央駅は日本でいえば横浜駅ぐらいのスケールだが、ターミナル駅なので通過列車は逆方向に出発する。駅舎にはホテルが付属し、高い天井のホールがある。そこで写真展をやっていた。天井から糸でパネルをつるしている。風が吹いたり、鑑賞者が手を触れるとパネルは揺れる。前日にはオープニングパーティーをやったようだ。そこへ自転車に乗ったビジターが現れた(写真下)。写真展会場
にまで自転車が登場したのである。余談になるが、そのグループは、作品を指差しいろいろ議論をしていた。作品は問題を提起し、ギャラリーは議論の場になる。日本のギャラリーでは、あまり見られない光景だった。
【補足】ドイツの自転車事情を知るには『自転車ふたり旅…ドイツ・ロマンティック街道』(神谷すみ子 著 神谷典夫 写真 新風社刊)が参考になる。なによりサイクリングの楽しさとドイツの風土や町の雰囲気がいきいきと描かれていて、あらためてドイツに感動した。
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コメント
ドイツの自転車専用道路は 素晴らしく、羨ましい限り。アウトバーン同様に 全国網を敷いたのも 凄い事だ。自転車は 環境に優しく、健康に良い 優れ物だが、日本では 駅前の邪魔者、ママチャリと悪評を受け 可哀相な存在。
夫婦二人がロマンチック街道を自転車で旅をした本を読んで、適わぬ夢を見ている。
環境庁か政治家に 自転車愛好家はいないのだろうか・・・
投稿: シャトロー | 2006/03/06 09:17
ご無沙汰しております。
もう十年も前でしょうか、欧州出張で週末がデュッセルドルフになり、オランダ工場にいた友人がベルギーへドライブに連れて行ってくれたのですが、そのとき車道の脇に延々と伸びているサイクリングロードを教えてくれたのを思い出しました。日本と違いあの辺りは平地ばかりなのでそういう意味で納得したのですが、町中でもそうなのですね!
デュッセルでは気が付きませんでした。
私の家のすぐ裏の土手沿いにサイクリングロードが有るのですが、9km程度。残念ながらその先は無いし、日常とは切り離されている。それはその目的で良いのかも知れないけれど、ECOとか環境とか考えると生活に密着した“サイクリングロード”と言うより自転車専用道路を整備することが必要な時代になっているのでしょうね。
投稿: flugelGT | 2006/03/05 09:46