写真は病気を治すか 信州No.5
今冬の寒さは気象台のデータ収集開始(1946年)以来である報じられている。確かに信州でも実感する。日本海側は大雪だが、八ヶ岳山麓では近年になく少ない。このような気候のときが本当に寒いのだ。似たような寒さは以前にもあった。右上の写真は15年以上前の撮影だ。氷の魅力を発見したときの被写体とその写真である。当時は、森の中に宝物があり、『沈黙の森から』が成り立つと思った。右下の写真は5年ぐらい前の撮影だ。PLフィルターの効果で見える氷の風景だ。何のへんてつもない氷が、PLフィルターを通してこのように見えたときの感激は寒さを忘れさせる。今日も、渓流は宝石箱だった。
【撮影に夢中になると指先が温まる】 冬の撮影はつらい。撮影以前に寒さと闘わねばならないからだ。特に指先がかじかんで思いどおりにカメラ操作ができなくなる。これさえ解決できれば撮影は快適なのだが。しかし、寒さを我慢して被写体を探したり、シャッターチャンスを待たねばならない。ところが、良い被写体にめぐり合うと状況は変わる。まず寒さを忘れる。そして気がつくと、ついさっきまでかじかんでいた指先が温かくなっているのだ。
フォトセラピーということばがある。初めて聞いたのは、1996年8月23日の朝日新聞紙上である。セラピーとは治療のことなので、フォトセラピーは『写真療法』とか『写真治療』ということになる。記事の要旨は、被写体とつきあい、写真を撮影し、それを評価したり鑑賞し、役立てることで治療ともいえる効果があるというのだ。これらはアートセラピー(芸術療法)の一種だという。
私は指を暖めたわけではない。被写体に夢中になり、いい写真を撮りたいという目標を目ざしただけである。それなのに指先に変化が起きた。体内で何かが起きているとしか思えない。撮影には、心理療法のような効果があると実感した。同時にフォトセラピーも確信したのである。
【撮影データ】 [上の写真] ニコンFE2 Aiマイクロニッコール55ミリF2.8 絞りF5.6 1/8秒 フジクローム100プロD 左後方からストロボ日中シンクロ [下の写真] ニコンF4 ズームニッコール80~200ミリF2.8(200ミリ) 絞りF11 1/4秒 コニカクロームSINRA100
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