2019/03/17

第17回 ヌービック・フォト・フレンズ 5 写真展

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2019年ヌービック写真展は
3月26日(火)から開催
 

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 今年から、大澤聡氏をコーチに迎えての開催だ。大澤氏は、元日本カメラの別冊編集長だ。毎回、テーマを厳しく追求してきたヌービックにとって、大澤氏は、まさに“傾蓋、旧の如し”といった関係になるのではないか。これからは、“管鮑之交”になって、ますますテーマを追求してほしいものだ。以下に、あいさつ文(下図左)と作品一覧(下図右)を掲載する。ご高覧いただけたら幸いだ。なお、図はポップアップする

 

 さて私は、雪のカテゴリーに2点出品させていただいた。どちらも、2月の川上村の雪景色だ。気温が低いので、雪は軽くさらさらしている。『泡 雪』は形がモチーフの写真だ。枯草のカーブが、積。もった雪で折れそうで折れないところに微妙なバランスを保っている。『春を待つ』は、花芽という春のモチーフに雪という冬のモチーフを重ね、時間のモチーフを構成している。季節感を表現するには、またがる二つ以上の季節要素で画面を構成することが常道だ。

本写真展は毎回、写真集を制作している。今回もA5判、4C、36ページの写真集を作った(写真右参照)。これは、アマチュアのグループ展では大変珍しいことであり、理想的なスタイルだ。

『豊田芳州のTheme』に掲載された写真と文章は、著作権法で保護されています。無断使用はご遠慮ください。All pictures and writings on this blog are copyrighted.

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2019/01/18

リハビリの実情

 私はパーキンソン病のため、身体が思うように動かない。そこで、リハビリへ通っている。日頃は、そこで歩き方や話し方の指導をうけている。

 

手厚い日本の介護保険

 その施設は、くにもとライフサポートクリニックという神経内科医院の付属の施設で、「アンドモア」という名まえが付いている。「アンドモア」とは、and more「そしてもっと」という意味になる。この施設に通うにきっかけは、ケアーマネージャーのYさんの紹介による。初めてアンドモアに行ったとき、施設の土屋さんが私を迎えに来てくださった。そのとき、土屋さんは初対面の私の肩をかかえるようにして、送迎車へ連れて行ってくださった。私はすでに歩くことが困難になっていたので、送迎車に向かうときには不思議な感覚だった。なぜ歩けるのか不思議な気持ちだった。送迎車のなか土屋さんが自己紹介した。「理学療法士の土屋です」という。そのとき初めて、理学療法士という国家資格があることを知ったのである。理学療法士は、私にとっては神さまみたいな存在だ。歩けない私にとっては救いの神である。今でもまだ、普通に歩けるわけではないが、将来歩ける可能性を信じていられるのは、うれしいことだ。まさに、アンドモアである。何故もっと早くリハビリに行かなかったのかが悔やまれた。

 

 私は現在、要介護2だが、介護保険のlおせわになったとき(当時は要介護1)、私の自宅に7人の方々が集まって打ち合わせ会議をしたことがあった。①ニチイのケアーマネージャーのYさん、②アンドモアからは理学療法士の土屋さん、③ニチイの訪問看護担当のHさんほか2名、④部屋のリホームと介護用品担当のニチイのスタッフ、⑤電動車椅子担当のフランスベットの方が一人出席した。合計5部門7人もの人々が、私一人を支援してくださっているのだということがわかった。Hpdsc_0054_edited1_2ちなみに、この会議のことを担当者会議という。介護保険制度とは、これほど手厚いものだとは知らなかった。

 

うれしい時間を共有

 ところで、アンドモアでの生活は、なかなか充実している。これは、施設のスタッフはもちろんだが、通ってくる人々の人柄による。皆さん高齢ではあるが、知識人であると同時に人格者でもある。

 リハビリでは、まず始めに“おとなの学校”という時間がある。これは、毎回スタッフが講師になって行うレクチャーである。あるとき、聖徳太子について学習したことがあった。太子の有名な言葉に「和を以て貴しとなす」というのがある。そこで、「和」について話題になった。その時、講師の佐藤さんから「和」を作るにはどうしたらよいか? という質問があった。我々“生徒”のその質問に対する答えは、流石に立派なものであった(写真右上)。①話をよく聞く、聞き上手になる。②腹を立てない。③お互いに笑い(笑顔)を絶やさない。④近づこうと努力する。⑤譲り合う心。➅喜ぶことを考える。⑦自分のしてほしいことを、(他人に)してあげる。逆に、自分のしてほしくないことを(他人に)しない。⑧人前で相手をほめる。相手の良いところを見つける。というのが答えだった。私の答えは⑧だったのだが、そのとき、ほかの生徒さんが、その前に相手の良いところを見つける、という提言が付け加えられた。すなわち、私の答えを補ってくださったのだ。このような知的な環境は、めったにないのではないか。

 これは、我々高齢者でなければできない答えだろうが、高齢だからできる答えというものでもない。リハビリにいらしている方々の人格による。こういう方々と一緒に同じ時間を共有できるのはうれしいことだ。

 

楽しいクリスマス会

 昨年1215日は、アンドモアでクリスマス会があった。家内と二人で参加した。会場に到着すると、いつも私の身体の調子を診てくださっている理学療法士の野村さんがサンタクロースの衣装で私を会場へ案内してくださった。

Hppc152511_2Hppc152531_2 クリスマス会は、なかなか充実したプログラムだった。スタッフは、ハンドベルの演奏やフラダンスを披露した(写真上2点)。始めに、たどたどしい“日本語”でガイダンスがあった。それが外国人の日本語に似ているので、日常を知っている参加者から笑いが起きた。お菓子のプレゼントは、すべてスHppc152550タッフの手作りだという。Hppc152547
最後に、全員で「聖しこの夜」を合唱した。久しぶりに楽しいひと時を過ごした。

 

早くから対策を
 最近、くにもとライフサポートクリニックでは、早くから(高齢になって体が動かなくなる前に)身体の調子を整えておきたい人のために、「メディカルフィットネス『にこっと』」を新設した。世の中には、身体の自由がきかない方々がたくさんいらっしゃる。『にこっと』には、筋力アップだけでなく、生活習慣病の予防と、改善、および健康維持、健康増進などを目的にしているという。Hp_edited1私も、通いたかった施設だ。特に認知機能を守ることに力を入れているという。これは素晴らしいことだと思う。このほかにも、神経内科の医院のメリットを生かしたいろいろな内容がある。詳細は、ホームページなどを参考にしてほしい。http://www.mf-nicotto.com

 さて、「アンドモア」にしても、「にこっと」にしても、ネーミングがおもしろい。ほかに「笑いヨガ」というのがある。「おとなの学校」の最後に、みんなで大笑いするのである。笑うことが体に良いということは、以前から知っていた。私の叔母が骨折したときに、担当医が苦笑いでもいいから笑って患者に接してほしいと言われたことがある。それ以来、笑いを心がけてきた。笑うと免疫力が高まるといことだ。これをヨガと結びつけたとろが流石である。何か新しいことをやるときには、それに名まえを付けて、取り組む人たちがそれを共有することが大切だ。

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2018/12/26

山麓で過ごすクリスマス 八ヶ岳山麓No.209

Hpa0012222 1224日は、前日とは打って変わって寒くなった。標高1400メートルの高原は、最低気温がマイナス4C(写真下右)、一日中氷点下だった。朝目覚めて雨戸を開けると薄っすらと雪が積もっていた。クリスマスツリーのモミの木にも雪がつもっていた。ホワイトクリスマを予感させた(写真右は八ヶ岳の主峰赤岳)

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 冬の森は閑散としている。庭に残ているのはノリウツギのドライフラワーぐらいのものだ。クリスマスローズが1輪咲いている。ほかにつぼみが二つ、花に従うように並んであった(写真下左)。クリスマウローズは、氷点下の森のなかでも平気なのだ。草花の多様性に改めて感心させられた。シイタケができていた。寒さを予測して榾木にビニールシートをかけておいたのが良かったようだ(写真上右、同下右)。
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 我が家では、山小屋を建てて2~3年ぐらいして植えたモミの木をツリーにしている。高さは5メートルに達したろうか。もう3~4年もそのままつ使っている。(写真上はモミの木に積もった雪、同右は野鳥の水浴び用に準備した水が凍ったもの

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 買い物に出かける途中で、清里のモリモトに寄ってランチを食べた。モリモトはクリスマスの特別ランチのメニューで前菜の内容が、いつもより一品多くならんでいた(写真上左は前菜、同上右がパスタ)。私たちは“浅尾大根と無添加エビのパスタ、カラスミがけ”を食べた。あいかわらず素材の特長が生きていてとてもおいしい。なお、浅尾大根とは、隣町の明野村(地区)にある浅尾というところが産地の大根のことだ。モリモトのパスタは産地名をはっきりと表示している。それだけ自信をもち、洗練された味を出している。なにしろ素材の味が、いつもはっきりと感じられるのがモリモトのパスタなのだ。大根もエビもしっかりと風味が出ていて、カラスミがバランスよく効いていた。帰路に眺めた八ヶ岳はモンブラン菓子のように雪をかぶっていた。 (写真下はシュトレン

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 晩餐は、新横浜で買ってきたターキーの燻製を中心に家内がアレンジしてテーブルをにぎやかにしてくれた。Yさんからいただいたシュトレン(ドイツのクリスマス菓子)を楽しんだ。Hppc240282
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2018/05/25

野菜

野菜
30分ぐらい前にとどきました。珍しい野菜がたくさんあり、レシピを参考にして食べます。ありがとう。ジャーネー

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2018/03/13

“名残り”というモチーフ

第16回 ヌービック・フォト・フレンズ5写真展
『名残りの情景』 は18日15時まで

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会期:2018年3月13日(火)~18(日) 10時~18時 初日は13時~ 最終日は~15時
会場:かなっくホール ギャラリー(A) アクセスは、DMを参照ください

以下に、本写真展のあいさつ文と作品一覧を掲載する。(写真や図表はすべてポップアップします)Hpimg_0002_4 Hpimg_0001_6Hpdmimg_4Hpimg_0001_7

 ヌービックフォトフレンズ5は、昨年、『発端の物語』という写真展を開催した。今回の『名残りの情景』は、テーマとしては正反対だ。物事の最初が発端だとすれば、最後は名残りで終わるのではないか。すなわち物事の最初と最後という意味で正反対といったのだ。
 発端も名残りも、私が提唱している8大モチーフの一つである「時間」に属する。名残りは過去のカ テゴリーに含まれる。また、過去のモチーフの中でももっとも重要なモチーフと言える。名残りは記録の本質でもあるからだ。写真撮影の目的は、名残りをとどめておきたいという願望の実現にあるともいえよう。記念撮影しかりだろう。写真撮影のもっともポピュラーな目的にかかわる。何をどう撮っても名残りになるともいえる。しかし、そうは言っても、被写体の選び方と撮り方には工夫が必要だ。
 『発端』について取り組んだので、次は『名残り』を撮ろうというヌービックの発想は、自然でもあろう。
 私は、今回、参考出品させていただいた。自然界には、常に始まりと終りがあり、それを繰り返している。その繰り返しが、人々の心に響き、自然への憧れや期待、逆に絶望や寂寞などの情感を醸し出している。私の自然観は、『自然は厳しい』ということだ。美しい反面、生きるか死ぬかの厳しさがある。その厳しさに注目している。名残りには、それを感じさせる要素があると思う。私は、春と秋の季節の名残りとして2点を出品した。

 

 『春のさきがけ』は、満開のモクレンの名残だ。早春に咲くモクレンには、春の喜びがあふれている。散らばった落花には、その面影を感じる。『豊穣の余韻』は、折れて落ちたミミガタテンナンショウの果実を撮影したものだ。秋の豊かさを象徴しているのではないか。
 
           ご高覧いただけたら幸いだ。
Hpp4060298『春のさきがけ』

Hppb190337『豊穣の余韻』

 ヌービックでは、毎回、写真集を制作している(写真左)。Hpimg_0005

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2018/03/01

弟4回ネットギャラリー展は終了しました

たくさんのアクセスとご訪問、ありがとうござました。

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2017/09/03

第10回 プローバー’01写真展 『写真を編む』         11日16時まで

Hpdm_img_0002_4会期:2017年9月5日(火)~11日(月) 10:00~18:00(初日13:00~ 最終日は~16:00)
会場:かなっくホール ギャラリーA(DM参照)

 私がコーチを務めていた、写真クラブ・プローバー’01が写真展を開催する。タイトルは、『写真を編む』という今までにはない変わったタイトルだ。あいさつ文にある解説には、「一人当たり3点の写真を縦糸に、撮影にまつわる物語を180字前後の横糸として編み物をつくるように写真をお見せできればという組写真に近い趣向で展示しました」とある。また、DMには、「撮影を縦糸に、物語を横糸に…」というキャチコピーが書かれている。内容ではなく見せ方にかかわるタイトルといえよう。Hp2017dm_img_0001
 組み写真にはちがいないが、編み物や織物として写真を見せようという発想はユニークだ。ところで、私には織物や染色といった、テキスタイルに関連した分野にはほとんど縁がなかった。一方、同じ「編」が付く編集という作業には、多少縁はあったので、編集のつもりでチャレンジしてみた。
 なお、私の後を継いでコーチを担当いただく福田徳郎先生は、朝日新聞の出版写真部のデスクを務めた方だ。いわば、組み写真のエキスパートである。また、多くの撮影現場に立ち会ってきただけでなく、比叡山で修業されたこともあるという。ユニークなキャリアの持ち主で、すばらしい師を得た思いだ。今回の写真展にも、基本的構想を提案いただいた。Hp_pa220414_edited2

 さて、私はメンバーの一員として参加した。最近は、人生の晩期を感じる。そこで『晩年』というタイトルで、秋の自然写真を展示しようと考えた。はたして、テーマに沿っているかどうか不安である。以下に私の出展作品を掲載しよう。 (写真はすべてポップアップ可)

『晩 年』
 「終わり良ければすべて良し」という諺がある。晩年を迎えた私には気がかりな諺だ。Hp_p9120300_edited1秋は四季の晩年といってよいだろう。私は、自身の心境を秋の自然写真に置き換えてみようと試みた。
Hp_pb020508_edited2Hp2017img_0004_2ヤマブドウの葉には、“波瀾万丈”を感じる。ヌメリスギタケは、ひと目“他力本願”に見えるが、分解という大役をこなしている。私は、自然写真を撮っていたおかげで、今も植物の発生に“興味津津”である。

左上に、本写真展の作品一覧を掲載する。

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会場風景Hpp9072307_edited1

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2017/07/31

2017年7月下旬の森の生活 八ヶ岳山麓No.208

 今年の季節の推移は早いのか、遅いのか、どちらだろうか? 春の植物については、昨年に比べて1週間ぐらい遅かった。それはすなわち、平年並みを意味しているのだろうか。森の中で生活していると、自然界の動きがよくわかる。Hp726_p7264292Hp_721p721399
八ヶ岳山麓のウバユリやギボウシの開花も、昨年よりほぼ1週間遅れである。関東甲信越の梅雨明けは早めだったようだが、前線が南下して、八ヶ岳山麓も、ここ2、3日は梅雨のような天候だ。梅雨明け後1週間の夕焼けの美しさも、まだ見ていない。「梅雨明け宣言」にはいろいろ問題がある。7月下旬の森の生活をレポートしよう。

ユリ科の植物の不思議
 ギボウシ(写真上右2点)は、つぼみの状態と開花時期の状態が、別の花ではないかと疑うほどに大きな違いがある。Hpp7133679_2
Hpp7264330ウバユリ(写真下左2点)も同じようにひと塊のつぼみから1~数個の花が咲く。どちらもユリ科で、つぼみは天に向かって砲弾型をしている。しかし、開花直前になると、花冠は横に向きを変える。なぜこのように進化したのだろうか。きっと昆虫からの防御と授粉を助けるために共進化したのだろう。しかし、ウバユリには、つぼみのうちに虫に食われてしまうものが目立つ。

森の訪問者
 山小屋に来て、ベランダで初めて夕食を摂っていると、ミヤマクワガタのメスが外灯にぶつかってきた。翌日はコクワガタのオス(写真下右)がやって来た。Hpp7223490
 毎年一回は観察するセミの羽化に、今年も巡り合った。エゾクマゼミ(写真下左)が変わった場所で羽化していた。シカに葉を食べられたミズナラの小木で、小枝の先端だった。行き止まりの細い枝で戸惑ったに違いない。Hpp7240247向きを変えて、羽化を開始したようだ。羽化した場所から離れて羽を整えるのを初めて観察した。危険な羽化だったと思われる。しかし、無事に飛び立っていったようだ。
 オオミズアオには、何か因縁を感じる。今までに、身近な要人が亡くなると現れるのだ。今回は、4月に叔母が102歳で永眠した。オオミズアオを見ていると、叔母の才気と厳しさを思い出す。Hpp7264375
 カミキリムシは、日本に600種ほどいるという。夜のべランダに飛び込んできた個体は、なんとも渋い色のカミキリだった。翌日よく見ると、重厚なカラーと質感のある個体だ。Hpp7284626しかし、同定はできなかった。なかなか賢いカミキリで、虫かごの蓋を少し開けたら、あっというまに逃げてしまった。そのとき、翅を広げてファッションショウーを見せてくれた。

夏野菜のパスタ
 清里のモリモトへランチに出かけた。トマトベースの夏野菜のパスタがおいしかった。ズッキーニ、トマト、カボチャ、ナス、ブロッコリーなどの夏野菜をふんだんに交ぜてトマトベースに味付けされている。Hpp7224_2

Hpp7224102_2その上にチーズが振りかけられている。さっぱりとした味わいながら、チーズが深いコクを作っている。いつも、ランチセットの前菜が魅力的だ。Hpp7224109今回は、レタスのスープ、自家製ハムのサラダ、清里サーモンのカルパッチョなど5品に自家製のパンが少々付いている。

ニュー・ロック
 レストラン・ロックは、清里の顔だ。昨年、火災に遭い全焼した。今春再建されて営業を開始した。外観や内装に大きな違いはないが、部屋のストーブがなくなり、トイレは一新された。Hpp7254153玄関前のアプローチが広く華やかな雰囲気になった。山小屋でお付き合いしている友だちと一緒に、ランチに出かけた。野菜いっぱいのビーフカレーは相変わらずの味だった。

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2017/07/16

キビタキの営巣に付き合う 八ヶ岳山麓No.207

 昨年から今年にかけて、野鳥の営巣(子育て)をいくつか観察した。野鳥の健気な子育てに感心した。 私たちは、山小屋の近くに、巣箱を4つばかり置いてある。いずれも家内の手作りだ。今までに、3つの巣箱には、営巣の実績がある。Hp616p6163247 今年は、今までに無視されていた4番目の巣箱にも、ヤマガラが営巣した。そのほかに、今年は、台所の窓辺にもキビタキが営巣し、窓が開けられないという事態になった(写真右 巣立つ前日の夕方、親が子に餌を与える。写真下左 台所の窓辺にできたキビタキの巣)。

 野鳥たちが、巣の場所を決めるのには、いろいろな理由がある。まず、天敵に襲われない安全な所だ。Hpp5200146 キビタキにとって安全な場所とはどのようなところだろうか? 野生動物のテンやキツネ、カラス、猛禽類、蛇などから、巣を守れるかどうかが、第一条件だ。そのためには、人の生活圏がもっとも安全だ。キビタキは、山小屋の台所の窓の格子を利用して巣を作った。ちょっと山小屋を空けていたすきに作られてしまった。私たちが山小屋に来たときには、巣は完成していた(5月14日)。窓辺を占領されて、私たちの生活のし方に支障が生じてきた。Hp2p4180492 しかし、私たちは、キビタキのために、多少の不便を我慢することにした。キビタキのほうも、我々を信じてよいのかどうかを、様子をうかがっているようだった。カップルで私たちのそばまで飛んできて、観察しているようだ。キビタキは、めったに見られる鳥ではない。しかし、今年のこの時期にはしょっちゅう観察できた。鳴き声も頻繁に聞こえた。巣を作ってからしばらくは卵はない。その間に周囲の環境を点検しているようだ。Hpp5280417

 私たちが、家の裏に回て、巣を直接、観察しよとすると、つがいは巣を離れ、近くの樹に留まって、様子をうかがっている。警戒しているようだ。私たちはしかたなく、室内から窓越しに観察することにした。窓ガラスは、半透明の型板ガラスだ。シルエットがやっと見える程度の観察になる。1個目の卵が確認できたのは、5月16日だった。2個目を26日に確認、私が2階の窓から自撮り棒で撮影したのが28日だ(写真上右 卵2個を確認)。このときも、自撮り棒を窓から少し出しただけで、親は巣を離れてしまった。Hpp6163290

 約1週間、山小屋を空けて、6月7日に山小屋へ戻ると、2個の卵は孵っていた。それからは、親の熱心な育児が、窓越しに感じられた。早朝から夕方暗くなるまで、親は代わる代わる、約5分から20分間隔で餌を運んでくる。夜は交替で巣に留まって子ども の面倒を見る。

 図鑑によると、キビタキはスズメ目ヒタキ科で体長14センチとあるが、これはオスのサイズではないか。メスは、2センチぐらい大きく見えた。オスの色は胸が黄色で、白と黒の羽のコントラストが美しい。ひと目でキビタキとわかる。メスは全身が黄褐色で地味だ。ガラス越しのシルエットでも、オスとメスの区別がつく。夜に、室内灯のよって照明されたオスの羽の白い部分が見えた(写真右上)。

Hpp6163265Hp616p6163254 6月16日の夕方、家内が出かけているときに、我が家の犬が大声で鳴き喚いた。私の犬に対する対応が気に入らないらしい。耳をつんざくほどの鳴き声に、私は、窓の外のキビタキが気になった。 せっかく、私たちが大切にしてきたキビタキに対する思いを無にするような鳴き方だったからだ。これではキビタキの親は、心配だろう。窓の外に不穏な気配を感じた。シルエットの親と雛が動き始めた。羽ばたきの練習も始めた。巣立ちの間近なことを予感した。(写真上2点 巣立つ前日の雛のようす。羽ばたきの練習をしている)

Hpp6170210  Hpp6170212 翌日、6月17日、朝から窓の外が活気づいている。親が盛んに餌を運んでくる。そして出かけるときは、口に白いものを加えて飛んでいく。巣の中の糞を運び出しているのだ。どんな野鳥も、巣立ち直前になると巣の中に溜まっている子どもの糞を運び出す。糞の臭いが天敵を呼び寄せることになるのを警戒しているのだろう。ますます、巣立ちが近いことが予想された。10時ごろ、親に巣立ちをうながされて、2羽がほとんど同時に巣だっていった。Hpp6240235なんとも言えない寂しさと空虚感に襲われた。約1か月に及ぶキビタキの営巣に立ち会って、人間の育児や夫婦の絆について、あらためて考えさせられた。 (写真上2点 巣立ちの日の親子。同右 キビタキの巣材、下が窓側、白いものは糞の残り)

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2017/04/11

2017年ヌービック写真展

第15回ヌービック・フォト・フレンズ5 写真展
『発端の物語…始まりのとき』Hpimg_0001

会期:2017年4月11日(火)~16日(日) 10時~18時(初日は13時~ 最終日は~15時)
会場:かなっくホール ギャラリーB(☎045-440-1211)

 私は、今年のヌービック展には、ほとんど関わっていない。しかし、多少相談に乗ったうえに、ヌービックの写真展は注目に値するので、紹介することにした。今年のテーマは、物事の始まりに着目している。写真展のタイトルである発端には、起源や原始などの原点を表す。また手がかりや糸口などの行動のとっかかりになる。Hp_p4092157_2

Hpdmimg_0002_3人間なら通過儀礼(お宮参り、お食い初め、成人式、結婚式など)は、それ以後の人生の始まりを表す。始まりにはいろいろな情緒(期待や不安)がつきものだ。そして、しばしばドラマティクだ。どんな被写体にも始まりはある。『発端』は、写真のテーマやモチーフには絶好ではないだろうか。以下に、あいさつ文と作品一覧を掲載しよう。Hpimg_0005Hp_img_0004_2Hpa_imgHpb_img_0003Hp_img_2Hpa_img_0002Hp_img_0004

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2017/04/09

寄せ植えの芸術性

バラクラの日比谷公園展示会
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 寄せ植えは、コンテナー・ガーデニング(container gardening)という別名がある。すなわち、入れ物の中に庭を作ろうという発想だ。日本の盆栽に匹敵するだろうか? 両者は、構想や内容に違いはあるだろうが、“縮小芸術”(reduction art)という点では共通性があると思う。自然を尊重して一つの世界を目ざす点も似ているかもしない。家内が夢中になっているので、聞いてみたところ、「自然の植生や景観を大切にして美を追求する」というのだ。草花や樹木(灌木)を利用して、自身の自然観を再現しようということだろうか? おのずと、技法や流儀があるのだろう。蓼科バラクラ イングリッシュ ガーデンは、英国風の寄せ植えや庭造りの普及に寄与している。

 日比谷公園で開催されている寄せ植え展を見てきた。会場の展示は、1点1点を横一列に並べて見せるギャラリーのような構成だ。一堂に会している作品群を見て、今までにはない感動を覚えた。Hpp4072092今まで、私が見てきた展示は、作品1点1点が庭の構成要素のように置かれていた。作品で中庭を作ろうという見せ方だった。これは、寄せ植えの利用目的や日常性を重視した展示といえるのではないか? 寄せ植えの展示方法については、私はよくわからないが、今回の展示は、それぞれの作品が際立って見えるので、個性や自然観、作者のイメージが伝わってきた。Hpp4072099特にマスター(免許皆伝の作者)の作品は、迫力がある。重厚さや力動感、デリケートな反復など、それぞれの作品には、独自性が感じられた。
 DMに「世界的レベルで高く評価される作品展示です」と書かれているが、そのとおりだろう。私は自然写真に取り組んでいるが、寄せ植えと自然観の違いはあっても、創作の思考過程は同じなのではないか? 寄せ植えは、実際に植物を使うのに対して、私の写真は、被写体の画像で構成するという違いだけのような気がする。

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2017/04/04

サクラのつぼみを観察する 横浜No.94

 今春は、サクラのつぼみを観察した。サクラでは、つぼみは冬芽、または越冬芽ともいう。秋には枝にたくさんの冬芽をつける。新年に向けて少しずつ成長し、春に開花する。Hp41p40100472月18日に最初の観察をした。2本の小枝に着目して定点観測的に撮影を開始した。そのうちの一枝についてレポートしよう。(写真上は4月1日の観測木の一部。樹木全体では1部咲きぐらいだった)

 

 

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●2月18日
 全体が、鱗片葉(芽鱗)に覆われっている。鱗片葉は、寒さや害虫から花を守っている

 

 

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●3月9日
 前回にくらべ、わずかに膨らんでいるが、まだ鱗片葉に包まれている。

 

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●3月23日
 一段と大きくなり、成長が早いものは鱗片葉が剥けて、苞が露出している。

 

 

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●3月25日
 ますます膨らんで大きくなり、ピンクの花弁がみえる。

 

 

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●4月1日
 花冠が膨らみながら長くな伸び、開花直前。

 

 さて、鶴見川の土手の公園には、たくさんのソメイヨシノが植えられている。その中の1本に写真のような札がかかっていた。それによると、その木が日本で最初に開花したソメイヨシノだという。

Hp_p3250053_2Hp_p3250051偽のほどは不明だが。東京のサクラの開花宣言は、3月21日で、これが日本でもっとも早い開花日だと報道されていた。ところが、横浜にもっと早く咲いたサクラがあるということになる。私がこの札を見つけて撮影したのが、3月25日だった。そのときは、1~2分咲きぐらいだった。東京や横浜が開花日で全国で一というのは、異常な現象だろう。日本国内にはもっと低緯度の都市がたくさんある。それらの都市よりも大都市で早く咲くということは、都市が温暖化しているということではないか?

Hp44nop4040133Hp_170218_p2180025_24月4日のお花見
 近くの仲間と花見をした。観測木の下には、小学生のグループが集まり、にぎやかに歓声をあげていた(写真下)。観測した小枝が折れてなくなっていたので(写真上左 右部の折れ目)、もう一つの小枝(写真上左)の状態をレポートする。2月18日のつぼみ(写真上右)と4月4日の花(写真上左)を比較してみた。なお、観測木は5~6分咲きだった。Hp_p4040129_edited1

 

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2017/03/20

2017年3月中旬の森の生活 八ヶ岳山麓No.206

★八ヶ岳山麓の現状
 3月12日、約2か月半ぶりに八ヶ岳山麓を訪れた。冬の期間、山小屋の周囲は厳しい寒気に襲われる。そこで、暖房用の燃料費を節約しようと、山小屋生活を自己規制した。Hpp3170186_2その結果、氷の撮影と初期の渓流釣りを断念した。不在中の最低気温はマイナス15.2度Cだった(写真)。この最低気温は、私にとっては意外だ。もっと寒いのではないかと思っていた。Hp313_p3131680_3
 往路途中の清里・シーニックデッキでシカの歓迎を受けた(写真)。山小屋へ到着。この時期としては暖かな日和だった。141号線に設置してある野辺山の気温表示には2℃と表示されていた(写真)。氷点下でないのがありがたかった。なにしろ、山小屋生活の初日は寒い。燃料費のほとんどを、小屋を温めるのに使ってしまうからだ。Hpp3151832しかし、日差しが高く、長くなっているのが、春の訪れを感じさせる。
 翌々日、窓を開けると雪景色だった。ベランダの手すりに積もった雪から、積雪は10センチぐらいと推測した(写真)。しかし、日中の日差しでほとんど消えてしまった。

★清里・モリモトのランチ
 14日は、さっそく清里へ出かけ、モリモトのランチを食べた。イチローそっくりのマスターが出て来たのであいさつをした。最近は、この店の常連に名を連ねたのかもしれない。Hpp3141773この日に食べたランチコースの前菜は、『花豆のスープ』と『自家製ハムを添えた野菜サラダ』、『清里マスのカルパッチョ』をワンディッシュに盛りつけたものだ。メインディッシュは、オイルベースの『香川県産のマテ貝とプチベールのスパゲッティ ゆずこしょう風味』だ。一口食べると、ほのかなユズの香りが口いっぱいに広がる。マテ貝は、今までに食べたことがない。Hp_p3141776_2同じ貝類のボンゴレやムール貝とは違った味覚だ。マテ貝の心地よい食感は、アルデンテのパスタとハーモニーを作る。デザートは、『吉澤さんちの花豆と地どり卵のカタラーナ』だった。平べったいお皿に固められたプリン状のもので、表面をこんがりと焼いたお菓子だ。Hpp3141786中央に生クリームと花豆をアレンジしてある。焼き跡がサクサクしていて香ばしい。いつもながら満足できるランチだった。
 最近は、清里観光のお客もここモリモトを目ざしてやって来るようだ。もともと、地元の人気店だったよううだが、観光客にも知名度が高くなってきたのだろう。

★シカの歓迎
 シカの展望台シーニックデッキへ車を止めて観察した。約30頭がわれわれのシーズンインの歓迎してくれた。Hpp3131656

★ベランダに現れたテン
 3月16日もわずかな積雪があった。ベランダの雪面に大きな足跡がある。かなり大きな肉球を持った動物だ。夜中にベランダを歩き回ってから帰ったようだHpp3160084_2Hp_p3160080

★カエデの落ち葉
 もっとも早く芽を出すカタクリやギョウジャニンニクを探したが、みつからなかった。その代わりに林床をおおっているカエデの枯れ葉を撮影した。Hpp3151908_2

★氷シーズンの終焉
 3月19日、散歩道から渓流をのぞいてみた。渓流の氷はほとんど解けて消えている。わずかに残った氷の末路を見届けた。この氷(写真)の成り立ちは、渓流におおい被った倒木から垂れ下がった氷柱が発達して(太くなり)カーテンのようにつながったと考えられる。そこに、飛沫が当たり、ますます厚みのある壁になったようだ。Hpp3190130_2

Hpp3190131_5
Hpp3190132大きな氷は、なかなか解けないので、現在まで残っていたのだろう。 さて、氷をつなぎ留めている倒木と氷が離れそうなので、その瞬間を撮ろとシャッターチャンスを待つことにした。3カットの写真は、氷のシーズンの幕引きを象徴しているといえよう。

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2017/03/08

横浜・山手のイギリス館 横浜No.93

懐かしいひと時を過ごす

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 3月5日、久しぶりに横浜・山手へ出かけた。好天に恵まれた暖かい一日、懐かしい横浜を体験できた。
 私は、1980年代に横浜を被写体にした『横浜がみえる時間』というテーマに取り組んでいた。そのころは、毎週末に横浜の旧市街地へ出かけて撮影していた。Hpp3050213_2Hpp3050242_2

 明j治維新以来、外国人居留地があった横浜には、エキゾチックな雰囲気がただよっていた。
 また横浜には、アメリカンな雰囲気もある。第二次世界大戦後、昭和27年(1952年)当時、横浜市には米軍基地の全国接収地面積の62パーセントが集中し、市域の39パーセントに及んだ。現在、横浜観光の中心地である中区では74パーセント、また横浜の中枢である港湾施設の90パーセントが米軍に接収されていた (「港町 横浜の都市形成史」 横浜市企画調政局編)。Hpp3050090_2Hpp3050170が撮影を始めたころには、かなりの基地が返還されていたが、それでも今よりはアメリカンな雰囲気が漂っていた。エキゾチックな被写体に不足はなかったので、夢中になって撮影したものだ。 (写真上2点は敷地内で見つけた実生と芽生え)Hpp3050203

 山手の西洋館は文明開化の香りが高く、よく出かけた。イギリス館は、元英国総領事公邸の建物をそのまま開放している。横浜山手ではもっとも規模が大きな西洋館である。ここで、家内が英国風の花の寄せ植えを習っている。蓼科バラクラ イングリッシュ ガーデン主催のレッスンだ。イギリス館は、英国風の寄せ植えを学ぶにはぴったりの環境だ。
 私は家内に付き添って出かけた。玄関回りの花壇や付属のバラ園で撮影をした。現在のバラ園は、白と紫のパンジーが冬枯を補なうように咲き競ている。バラは手入れが行き届いているように見えた(写真)。ここのバラ園は、花の品種が豊富で、撮影のしやすさを考慮すると一級だ。花の季節が待ち遠しい。(写真上は家内が当日に仕上げた寄せ植えとリース)
Hpp3050295_3Hp201703051403000
 ランチには、撮影に夢中になっていたころ、よくいったローマステーションでイタリアンを食べた。お店はだいぶリニューアルされていたが、面影は残っていた(写真)。

  なお、春の横浜では『Garden Necklace YOKOHAMA 2017』 (ガーデンネックレス横浜2017)という花と緑の祭典がある。Hp_img_0001『ガーデンネックレス』とは、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」の愛称である。(財)都市緑化機構が毎年、全国各地で開催するイヴェントだ。横浜では、みなとガーデン里山ガーデンの2会場で3月25日~6月4日に開催される(パンフレット参照)。

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2017/01/11

氷の神秘性 八ヶ岳山麓No.205

〔動と静の葛藤〕
 冬の八ヶ岳山麓で最も魅力的な被写体は氷である。氷は固体と液体(水)の間で千変万化し、二度と同じ形にはならない。冬の渓流では、水の凝固と氷の融解が繰り返し起きている。人がコントロールできないという点では、氷は神秘的な存在だろう。Hpp1017370_2 結氷するには氷点下の寒気と着氷するための核が必要だ。水は氷点下になると、近くにある岩や流木の枝など、時には同じ氷などを“探して”氷になって付着する。結氷のし方にもいろいろある。Hpp1017381しずくが垂れてできる氷柱(つらら)、水流の飛沫が着氷する飛沫氷柱や飛沫着氷、空気中の水蒸気が昇華して直接個体になる霧氷などだ。それに流速や水位、流路、気温、風が影響する。これらが複雑に絡み合って氷は発達する。水温は約8度Cであるうえに流れているので、気温が0度Cではなかなか凍らない(凝固しない)。Hpp1017373_5流れが速いほど凍りにくい。渓流で水温が0度C以下になり、気温が氷点下3~5度Cぐらいなる必要がある。撮影に適した氷が発達するには一日中氷点下の日が3日ぐらい続く必要があるHpp1017412Hpp1017385_3氷も水も水の分子H₂Oで構成されているが、液体の場合は、分子が自由に動けるのに対して、固体は分子が結晶を作って、塊状になる。すなわち、水の「動」に対して、氷の「静」といえる。どちらも、自分の存在を維持しようとしているので、冬の渓流には、動と静の葛藤があるといえるのではないかHpp1017362_edited1_2Hpp1017394_2

                                        

〔氷写真の先駆者・清岡惣一〕

 氷の写真の先駆者として清岡惣一氏(1915~1991年)を挙げたい。清岡氏の写真集『清岡惣一の世界』(1993年 日本カメラ社 刊)には、多くの氷写真が掲載されている。Hpp1021502この写真集には、モノクロの作品が73点掲載されている。その中に、冬に撮影された作品が21点あり、そのうちの15点が氷(雪)の写真である。すべて日光中禅寺湖で撮影されたものだ。清岡氏は、1976年、東京・ペンタックスギャラリーで個展『雪と氷の湖畔・日光中禅寺湖』、1977年、金沢・名鉄丸越デパートで個展『雪と氷の湖畔』を開催している。残念ながら、私はどちらも鑑賞していないが、写真展のタイトルからも、清岡氏の氷に対する想いが伝わってこようというものだ。

 本写真集は、清岡氏が亡くなられてから刊行された。贈呈用の写真集に、清岡静子夫人が書かれた「御挨拶」という一文が別刷りで添えられてあった。奥さまが書かれている要旨は次のようなことだ。「病床にて故人自らが掲載作品の選定に最後の力を注ぎ、その後、多くの有志の方々の温かいご支援とご協力のもとに、完成したものです」「今、この故人の集大成とも呼ぶべき作品集を手にすると、満たされたときの主人の微笑みが思い起こされてなりません」とある。ページ構成を見ると、清岡氏は氷の写真に特別な想いを持っていたと推察できる。Hpp1021522私が言いたいことは、清岡惣一氏が氷の撮影に心血を注いでいたということだ。
 氷の撮影は、決して楽なものではない。氷点下の水辺での撮影は、指先がかじかんで、カメラ操作が思うようにできない。しかも、うっかり足を滑らせて、尻もちをついたり、衣類を濡らすと、衣類はすぐバリバリに凍ってしまう。すなわち命懸けである。清岡氏の撮影の緻密さと忍耐力は、推して知るべしである。私は、中禅寺湖畔でカメラを構える清岡氏の姿を想像した。

 カメラ雑誌の取材で、一度清岡氏にお会いしたことがある。そのとき、清岡氏の撮影姿勢と作風に好感をもった記憶がある。当時は被写体としての氷には注目していなかったのだが、実際に私が八ヶ岳山麓の渓流で氷を前にしたとき、清岡氏の心の奥底にあるものに触れた思いがした。私の氷写真の原点は清岡氏に負うところが大であると思っている。

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